セブ島からゴミ山が消える日

セブのゴミ山
毎日廃棄される家庭のゴミや産業廃棄物。
清掃工場で安全に処理される日本と違い、清掃施設やリサイクル工場が整っていないセブでは、廃棄物は土地の余っている場所に運ばれそのまま放置されるのが一般的。

可燃ごみ、不燃ごみ、ビンや缶など収集日が決められている日本と異なりフィリピンではゴミ回収車が可燃物も不燃物も一緒にゴミ集積場へ運んでいきます。
焼却もリサイクルもされず放置される街中の集積場は、衛生面と安全面から政府の指導によって徐々に閉鎖されています。

マニラの有名なゴミ山、スモーキーマウンテンも現在は中に入ることはできません。

観光収入で経済が成り立っているセブ島の場合、衛生と安全に加え外国人観光客に不衛生なゴミ山を見せたくないというのも理由のひとつ。

セブ市内で一般の人が中に入れるゴミ山は現在ありません。
市内の集積場は閉鎖され、ゴミは人目の付きにくい山へ運ばれています。

そして、ゴミ山があった場所には公園やコンドミニアムが建設されます。

セブのゴミ山は海岸沿いと山岳地域に

ゴミは海沿いの湿地帯に運ばれていました。
市街地から近いため運びやすく、集落がなく、更地だから。

ゴミを捨てては上から土を盛りゴミを埋め、また捨てていく。
この繰り返し。

海沿いあった集積場は閉鎖され、現在はイナヤワンとコンソラシオン。
また、セブ郊外の山岳地帯に運ばれそこで同じように放置されています。

セブ市内の大きなゴミ山は現在は二か所。
入り口にガートマンがいたり、フェンスで覆われ一般の人は立ち入りできません。

ゴミを拾いで生計を立てるスカベンジャーとは

貧富の差が激しいフィリピンでは、ゴミを拾って毎日の生活を送っている人たちがいます。

ビン、プラスチック、金属。

捨てられたゴミを仕分けしジャンクショップと呼ばれる買取屋に運び、わずかながらの収入を得るスカベンジャー。

彼らの収入は多い時で月1万円。少なければ5千円程度。
運ばれるゴミの量によって左右されます。

違う仕事に就けば、と思うかもしれませんが、家族代々でゴミ拾いをしているスカベンジャーは廃棄物の販売しか生きる術を知りません。

ゴミ収集車が来れば我先を争い売れるゴミを拾い集めます。

ゴミ山の中に建てた簡素な家は劣悪な環境ですが、収入のためにゴミと寄り添うように毎日を暮らしています。

セブのゴミ山

スカベンジャーはどこで生きる

セブ市内のゴミ山は閉鎖され、立ち退きを余儀なくされたスカベンジャーは別の集積場を求め転々とします。
期日までに立ち退けば2万円ほどの立ち退き料が支払われる場合も。

でも、山岳地帯の集積場にはすでに元々いたスカベンジャーが暮らしています。
親戚や友人の伝手でもなければそのコミュニティには入っていけない。

2万円を受け取ったところで一時的な引っ越し代にしかなりません。

セブ市内でゴミ拾いをしていた彼らは田舎に帰るか、閉鎖されたゴミ山に潜り込んで細々とゴミ拾いを続けるかの二択。

環境衛生と安全を考えればゴミ山はない方が良いに決まっています。
しかし、フィリピンのようなゴミ処理施設が整っていない途上国ではそれは理想論。

ゴミ拾いで得たお金で毎日ごはんを食べている人たちがいる現実。

クリーンな焼却施設やリサイクル工場ができれば、外面的には良くても社会問題は解決しません。
貧困層は生活の術を失うことになるのです。

表面的な問題を解決するのはそれほど難しくはないかもしれません。
焼却施設やリサイクル工場を建設するお金があれば解決。

本当に考えなければいけないのはそこで生活していたスカベンジャーの生計。

・住まいの無償提供
・他の仕事に就ける職業訓練
・生活補助

ゴミ山と貧困問題は表裏一体なのです。

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