しおん 立教大学3年

私は大学で教職について学ぶ中で、子どもを待たせてはいけないと教わってきた。

しかし、フィリピンの小学校では多くの時間が子どもたちにとって待ち時間であるように見えた。

それは先生方の動きに合わせて授業が展開されているからだと思う。

また、文字を写したり、先生の話を聞いたりする授業が多かった。

あえて批判的な書き方をしたが、言い換えれば教師を中心にできるほど、教師への信頼や尊敬が厚いということは、教員志望者が減少していて教育の質の確保が危ぶまれている今の日本にも必要なことだと思う。

また、対話や実践も大切であるが、一方でなぜ日本で現在、講義型の授業が批判されているか考えたところ、要因の一つとして、一方的な授業では日本の子どもたちは意欲的に学べないことがあげられるのではないかと思う。

日本で数十分にわたり教科書を写す作業を行わせたら、多くの小学生が途中で飽きてしまうだろう。

しかし、フィリピンの小学校では子どもたちはもくもくと集中して書き写しており、作業ではなくきちんと学びになっている。

また、多くの子どもたちが一度学んだことをしっかり覚えていることにはとても驚いた。

学習意欲の高さ、集中力など日本では今まで見たことのない子どもたちの姿を見ることができた。

フィリピンの教育も日本の教育もそれぞれに長所短所があるし、その長所や短所も視点を変えれば長所にも短所にもなる。

だからこそ、他の国の教育を学ぶことが必要だと強く感じることができた。

また、これまで教育も世界的に画一化していくのではないかと考えていたが、例え制度がそうだとしても、国民性や環境によって完全に画一化されるものではないし、そうすべきではないとこの1週間で強く思うようになった。

また、先週訪れた貧困層の人達とつい比較してしまった。

同じ地球に生まれているのになんでこんなにも違うのかと考えさせられたことはこれまでもあったが、同じ時代に同じフィリピン、セブという地域にいて、こんなにも環境が違うのかということを肌で感じ、知識だけでは得られない衝撃を受けた。

環境は幸せの要因のほんのわずかでしかないというが、だからこそ考えていかなければならないと強く思う。

2023年3月

海外の教育スタイルを学ぶ、フィリピン小学校インターンシップ