貧困でも月3万円の生活費が必要
グローリアセブが奨学金で支援している貧困家庭の主な一か月の生活費です。
家賃 1,500円
トイレ利用代 1,000円
電気代 2,000円
水道代 2,000円
食費 18,000円
これらの生活費には衣服代や教育費は含まれていません。
この家族は食べ盛りの三人の子どもを抱え、貧困街にベニヤ板で建てた三畳ほどの簡素な家に暮らしています。
食費の大半はお米代。
安いお米でも月に12,000円ほど掛かり、おかずは小さな干し魚や鶏肉などごく少量のお惣菜でごはんを食べます。
貧困だと食べるものもないと思っている人も多いと思いますが、フィリピンの場合、お金がなければ他人から借りてでもごはんは食べます。
但し、おかずが不十分のために栄養を摂ることはできず、ただ空腹を満たすための食事です。
路上で暮らせば家賃は無料
生活費に占める家賃は極端に低く、水道代や電気代よりも家賃が安い現実。
貧困層の住まいは大きく分けて4つ。
・親や親戚から無料で借りている家屋
・低家賃で家を借りる
・スラム街やゴミ山に不法に家を建て住み着いている
・路上生活
衣食住と言われるほど住居は生活の基盤ですが、少しでも生活費を切り詰めたい貧困層はランニングコストとなる居住には無頓着で、家族が住めればどこでも良いと言う考えです。
ボランティアでスラムを訪問すると、こんなスペースに家族が暮らしているのかと驚くはず。
最初に例に挙げた奨学生の家族も狭いスペースにひしめき合うように家族で生活しています。
フィリピンは裕福層と貧困の格差社会で中流と言う言葉はないのですが、あえて言うと中流層の住むアパートの家賃は15,000円ほど。
それと比較して1,500円の家賃がどれだけ安いか理解していただけると思います。
その家賃さえも払えなければ路上で寝泊まりします。
フィリピンは常夏ですので外で寝ていても凍死しません。
日本にはないトイレの利用料金
トイレ代と聞いても何のことかわからないと思います。
貧困の家庭で自宅にトイレを持っている家はなく、スラムの一角に造られた共同トイレを利用します。
1回いくら、または月いくらと決められていて住民は利用料を支払いますが、その費用は居住地によって異なり1回5円~10円。
このお金を払えない貧困層は川や海に垂れ流します。
これがスラム街が水辺に多い理由です。
飲用水は10リットル50円
日本にいると意識しませんが水道の蛇口から出てくる水をそのまま飲めるのは日本だけ。
海外では飲み水も生活用水もお金が掛かります。
生活に困っている貧困層でも飲用水は買います。
中には雨水を煮沸して飲用している貧困層もいますがこれは本当に稀なケース。
体を洗ったり食器を洗浄する生活水は井戸からくみ上げる地下を水利用し、井戸は集落ごとに住民がお金を出し合いつくります。
井戸ができた後は月150円ほどの利用料を支払って使います。
フィリピンの電気代は日本と同じ。
物価の安いフィリピンですが電気、ガソリンなどの光熱費の料金は実は日本と変わりません。
スラムと呼ばれる地区でも電線は引かれ電気が送電されています。
貧困で電気代を払えない家庭では電線から勝手にケーブルをつなぎタダで電気を搾取してますが賃貸の家ではちゃんと電気代を支払っています。
但しスラムでは長屋形態の家が多く電気代は長屋の住民がシェアして支払います。
ボランティアでスラムを訪問すると貧困の家庭でも家にテレビやスピーカーが置いてあることに驚きます。
これは音響や映像が大好きなフィリピン人の文化で、街中で壊れて捨てられているテレビやスピーカーを拾い、安く修理して使っています。
でも、高額な電気代をセーブするため子どものテレビの視聴時間を制限しています。
将来の教育費より今日の生活に切迫する貧困層
貧困家庭は生活費がなく電気も水も、食事さえも摂っていないと思ったらそれは間違い。
彼らなりにやりくりをして最低限の生活は営んでいますが、問題は生活にお金が掛かり教育費を支払えないこと。
子どもが学校へ通うためには年間で約18,000円。
この金額は一か月の食費と同額ですが、今日食べていくことを一番重視する貧困層は将来のための子どもへの投資、教育費は払おうとしません。
そのお金があったら少しでもお米や水を買います。
グローリアセブでは奨学金制度をつくり貧困家庭の子どもでも学校へ通えるよう支援を続けています。
グローリアセブのボランティアプログラムに参加すれば、フィリピンの貧困家庭の生活の現実を知ることができます。
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