家族のために働く母親
学歴もなく特別な技能も持っていない貧困地区の人たちにとって、定職を持つなど夢のまた夢。
でも、稼ぐ方法を考え家族が食べていけるだけの最低限の収入は得ています。
フィリピンでは家族が生きていくために仕事をするのは母親の役目。
貧困家庭の女性の主な職業を紹介します。
・食べ物売り
・洗濯
・農産物の行商
・家政婦
・夜の接客業
街中に露店が並ぶフィリピン
バーベキュー、焼きそば、鶏のから揚げ。
どれも一品10円ぐらい。
おかずが入った鍋を家の前に並べ、その中から選んで食べる簡易食堂。
トロトロとかカレンデリアと呼ばれています。
母親は自宅でおかずを仕込み、お昼ごろから夜8時ぐらいまで路上で食べ物を売ります。
安く食べられるのでお昼時や夕食時はどの店も人だかり。
調理する台所と販売する場所が確保できれば誰もができる仕事です。
洗濯の請負
貧困街を歩くと大量の洗濯ものを洗ったり干している光景を目にします。
自分の家の洗濯ものではなく周辺の家の洗濯を請け負い仕事をする母親。
フィリピン人はきれい好きなのでシャツや下着は毎日洗濯します。
街のクリーニング店では1kg50円のところ、その半額以下で請け負いますが毎日の収入としては貴重。
野菜と果物の行商
ジャガイモ、白菜、人参
フルーツならハパイヤ、マンゴ、バナナ
野菜や果物を自ら育て、行商する母親も多いです。
畑は地主から借り、炎天下の中、毎日雑草の駆除、水撒き、栽培を行い収穫した作物を街まで背負って売り収入を得ます。
住み込みの家政婦
フィリピンでは裕福層の家庭がお手伝いさんを雇うのはあたりまえ。
掃除、洗濯、料理に加え、子供の面倒を見たり学校の送り迎えなど一日中仕事が絶えません。
住み込みは食事と寝室が与えられる分、収入は通いよりも少ないのですが、毎日の通勤や食事代を考えると住み込みを選ぶ母親が圧倒的。
お手伝いさんのほとんどは貧困地域に住む母親です。
飲食店でのアルバイト
20代の若い母親の場合、夜のお店で働きながら収入を稼ぐ女性も多いです。
フィリピンでももちろん売春は非合法ですが、カラオケバーなどで観光客相手の売春が一般的に行われている現実。
子どもを両親や親戚に預け、夜8時頃から翌朝まで店内、店外問わず接客。
収入は出勤するだけで最低保証賃金を支払うお店と、お客さんから指名された場合のみ支払うお店があります。
フィリピンのカラオケバーやキャバクラで働いている女性の8割は子供を持つ母親です。
複数の仕事を掛け持つ母親
スラム街の母親の仕事例を挙げましたが、どれかひとつの職業に就いているのではなく実際はいくつもの仕事を掛け持ち収入を得ています。
例えば家の前でおかずを売りながら行商もする。
平日は住み込みの家政婦、土日は洗濯の請負。
昼は物売り、夜は飲食店での接客など。
なぜ複数の仕事が可能かと言うと家族も母親の仕事を手伝うから。
母親が仕込んだ食べ物を子供たちが売る。
掃除や料理などの家の家事は家族が手伝う。
母親が仕事がしやすい環境づくりを家族がサポートしています。
母親の収入はいくら
子どもが多い途上国では7人から10人の大家族。
例えば7人家族なら食費、家賃、光熱費など一か月で最低2万円は必要。
母親はこの最低限の生活費を稼がなければなりません。
おかずの売り上げは一品10円
行商は一日働いても400円ぐらい
家政婦は住み込みで月12,000円ほど
夜の接客業もお客さんから指名された日で4,000円程度
これらの収入には仕入れ代や交通費などの経費も含まれますので手元に残るのはもっと少ない金額。
だから複数の仕事を掛け持ちする必要に迫られます。
なぜ女性が働くのか
母親ばかりが働き、父親の収入について疑問を持った方も多いでしょう。
フィリピンに限らずアジアの途上国では女性が社会に出て稼ぎ家族を養うと言う独特の文化があります。
一家の大黒柱は父親ではなく母親なんです。
貧困家庭では特にその傾向が強く、父親は仕事もせず昼間から飲酒やギャンブルに興じているのが珍しくない。
男性は女性に甘え、自立せず生きている。
こんなにも女性が頑張っている国なので男性も頑張れば貧困生活から抜け出すことも可能だと思いますが、片方が頑張ると片方は怠けてしまう。
フィリピンは、女性に支えられ成り立っている国なのです。
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