世界のプラゴミ問題。解決策はリサイクル率の向上!

プラスチックゴミ
ペットボトルやスーパーのレジ袋など、私たちの周りにはプラスチックの製品や容器が溢れています。
 
その一方で、プラスチックは自然界では分解されない特性があるため、不法に捨てられると川から海へと流出し海洋の自然におおきなダメージをあたえてしまいます。
 

このプラゴミ問題は日本だけの話ではなく、世界的には毎年480万から1270万トンものプラスチックゴミが適切な処理がされないまま海に捨てられ海洋ゴミになっていて、中でも、アジア諸国から流出したゴミが全体の8割を占めています。
 

この記事では、アジアの中でもプラスチックゴミの量が多い国のひとつであるフィリピンの、プラゴミ問題の原因と解決策について説明します。
 

目次
・世界の海洋プラスチックの排出量
・プラゴミの8割が未処理のまま投棄
・プラスチックのリサイクル率は28%
・プラゴミ削減に向けた取り組み
・まとめ
 

世界の海洋プラスチックの排出量

環境省の調べでは、海洋に流出しているプラゴミの多くがアジア諸国から排出されています。
 
1位 中国 132~353万トン/年
2位 インドネシア 48~129万トン/年
3位 フィリピン 28~75万トン/年
4位 ベトナム 28~73万トン/年
5位 スリランカ 24~64万トン/年
 

これらの上位5か国で世界の海洋ごみの約6割を占めています。
 
出典:環境省 陸上から海洋に流出してプラスチックゴミの発生量(2010年推計)
 

海洋プラスチックごみの排出量が多い原因としては、海外からのプラスチックの輸入過多や、プラスチックのリサイクル化の遅れなどが挙げられます。
 
 

追記:2021年6月14日
米国科学振興協会が発行している科学ジャーナル誌Science Advancesが、2021年現在、世界のプラスチックゴミの36%が、フィリピンの河川から流れ出しているという調査結果を発表しました。

 

プラゴミの8割が未処理のまま投棄

環境保護団体GAIA(Global Alliance for Incinerator Alternatives)の調査によると、フィリピンでは一年間に206億枚のプラスチック製レジ袋(国民ひとり当たり591枚)が使用され、163枚のゴミ袋が消費されています。
 
しかし、ゴミ処理場やリサイクル施設が少ないため、プラゴミの約8割が未処理のままゴミ山へ運ばれるか、海洋に流出していました。
 

海洋流出は、故意による不法投棄の場合と、ゴミ山に積まれたプラゴミや街にポイ捨てされたゴミが、雨によって川から海へ自然に流れ出してしまう場合の両方があります。
 
 
フィリピンのような開発途上国では、国の予算は貧困対策や食糧の確保などが優先されるため、環境問題の対策は後回しとなり、また国民も環境への意識が低いため、プラゴミ問題は野放し状態になっていました。
 
しかし、持続可能な開発目標(SDGs)のゴール14「海の豊かさを守ろう」が2015年に決定したことや、世界三大夕景に挙げられているマニラ湾が海洋プラスチックゴミで埋め尽くされてしまったことを受けて、国としてもプラスチックゴミの削減に力をいれるようになりました。
 
 
プラゴミ対策には3Rと言われる「削減」「再利用」「リサイクル」の3つがポイントになります。
 
現在、フィリピン国家経済開発庁(NEDA)では、2022年までにプラスチックの8割のリサイクルを目指すキャンペーンを行っています。
 

プラスチックのリサイクル率は28%

フィリピンにおけるプラスチックごみのリサイクル率は28%にとどまっています。
日本のリサイクル率が86%ですので、その低さがわかると思います。
 

世界銀行は「フィリピンの市場調査」の中で、もしすべてのプラスチックがリサイクルされていたら、年間で最大8億9000万ドル(約977億円)の価値を生み出すことになると指摘しています。
 
出典:世界銀行グループ フィリピンの市場調査
 
 

フィリピンのリサイクル率が低い原因はおもに3つあります。
 

ひとつはリサイクルのための高額なコストです。
 
一般ごみの処理施設も十分に整っていないフィリピンでは、プラスチックの再資源化を行う処理施設の建設や、有害ごみの回収、廃棄システムへの投資が行われてきていませんでした。
 
国には「廃棄物処理・3R制度」というリサイクル事業を促進するプログラムがあるのですが、各地方自治体の予算が少ないため廃棄物管理ソリューションへの積極的な投資が行えません。
 
また、施設ができたとしても、運用のための電気代や物流費用など、高額なランニングコストが発生します。
 
 
ふたつ目はフィリピンの特殊なゴミの流通事情です。
 
フィリピンではゴミの回収は、プライベートセクターと呼ばれる民間によって行われている比率が高いのです。
 

①ゴミを回収する人(ウェスト・ピッカー)
スカベンジャーが集積所に集められたゴミや、公衆のゴミ箱から有価物を収集して買い取り業者に買い取ってもらう

②ゴミを買い取る人(ジャンクショップ)
スカベンジャーから買い取った廃棄物を分別したり洗浄する小規模事業者

③ゴミを資源にかえる事業(リサイクル事業者)
ジャンクショップから有価廃棄物を買い取り、工場でリサイクルを行う事業者
 

回収や分別を行っているとんどが個人または家族経営のため、行政の介入が難しい状況にあります。
 
 
3つめの原因は、ゴミが分別されずに捨てらていると言うことです。
 
プラスチックをリサイクルするためには、ボリエステルやボリスチレン、ベットなど材質ごとに集めるる必要があります。
しかし、燃えるごみと燃えないゴミの分別さえキチンとされずに捨てられているフィリピンでは、素材ごとにプラスチックを回収することは困難です。
 
さらに、市場に出回っているプラスチック包装ユニットの61%が、低価格でリサイクルが難しい包装素材のため、回収してもリサイクルすることができません。
 
フィリピンのゴミ山

プラゴミ削減に向けた取り組み

2019年11月に発令された大統領令によって、フィリピンでは使い捨てプラスチックの使用、ならびに使い捨てプラスチックの輸入が禁止されました。
 
プラスチックは、原料から生産するよりも廃プラスチックを利用して製造した方がコストが安いため、海外から廃プラスチックを輸入していたのですが、現在は海外からの廃プラスチックおよびプラゴミの受け入れを規制し、送ってきた相手国にはそのまま送り返すという強硬な手段も取られています。
 

また、ポリ袋の使用が禁止されたため、スーパーのレジ袋はペーパーバックかエコバックに統一され、ファストフード店ではプラスチックストローの使用を取り止めました。
 

地方自治体も、環境に害を及ぼす旧来型のゴミ山を順次閉鎖して、衛生埋立地と呼ばれるクリーンなゴミ集積所の建設をすすめています。
 

フィリピンのゴミ山の閉鎖と衛生埋立処理場の建設については深刻な環境問題をひき起こすゴミ山がフィリピンから消える日の記事をご覧ください。

 
長年つづいてきた文化や風習の壁、そして脆弱な国家予算など難題はありますが、SDGsの目標期限である2030年までに、プラゴミの削減とリサイクル率の向上を目指し努力しています。
 

まとめ

地球温暖化対策にもつながるゴミの削減は、アジアだけではなく世界的なテーマで、各国ではさまざまな取り組みが行われています。
 
一方、無駄なものは買わないとか過剰な包装を断るなど、ゴミの削減と環境保全のために個人でできることもたくさんあります。
 

フィリピンでも、ゴミを分別して捨てるとか、ポイ捨てをしないといった当たり前のことを各個人が守ることだけでも、おおきな効果が期待できるはずです。
 

みなさんも、日ごろからゴミの削減のために自分ができることを実践してみてください。
ひとりひとりの心がけが積み重なっていくことで、おおきな成果を生み出します。
 
 
グローリアセブのボランティアプログラムでは、フィリピンのゴミ山を訪問し、そこで暮らしている人たちとの交流を行っています。
 
フィリピンのゴミ集積所の現状を見てみたいと言う方は、ぜひ参加してください。
 
 

 
 
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