国民の貧困化と途上国から抜け出せない理由

フィリピンが貧困であり続けしまう理由を簡単に言うと
国内に仕事がない
現状への満足
縮まらない貧富の格差
の3点。

この記事ではそれぞれの理由と、国民の貧困への意識について解説します。

アジアの病人と呼ばれた途上国フィリピン

フィリピンはASEAN10か国の中で2016年現在、インドネシア、タイに次ぐ経済力を誇っています。

政治の腐敗で1960年代は東南アジアの病人とまで言われたフィリピンは最近でそこ目覚ましい発展を遂げていますが、それでも貧困国、途上国からは脱却できません。
国民の4人にひとりが貧困。

大卒でもファストフードのカウンターの現実

マクドナルドやフィリピンで一番人気のあるジョリビーでは、お客さんに交じり履歴書を持った大学生が店頭で列を作っている姿を見かけます。

ファストフード店の面接を受ける大学生。
フィリピンでは大卒でもファストフード店への就職がやっと。

採用されたとしても正社員ではなく半年間の期間雇用。
契約が終了すればその後の雇用はどうなるかわかりません。

フィリピンの国民の平均年齢は若く23歳。
同じ年代に卒業した学生がたくさんいて、就職はとても狭き門となっています。

フィリピンの主な産業は農林水産業。
最近はコールセンターや外資系のサービス産業も増えては来ましたが、まだまだ国民の人数を受け入れるだけの産業は成長せず、職に就けない若者が大勢います。

新卒で企業に正社員として雇用されるのはランクの高い大学をトップクラスで卒業し、その後も大学院や専門学校で学ぶ一握りの若者。
普通に大学を卒業しただけでは縁故関係やコネでもなければなかなか仕事に就けません。

最終学歴が小学校卒業でも大卒でも同じ仕事をしていることが珍しくないんです。

フィリピン国内ではお金を稼ぐ場所が少ないのです。
その理由は貧困層が多くお金を使わないから。
そのため1億人の国民の雇用を受け入れるだけの産業が育っていません。

フィリピンでは国民の1割もが海外に出て働いています。

フィリピンのスラム街

貧困からの脱却を阻む家族愛の強さ

今の暮らしを少しでも良くしたい
そのために自立して一生懸命働く
収入を得るためにどうすれば良いか、人は試行錯誤する

向上心を持っていればいつかは貧困から抜け出すことが可能でしょう。
日本が戦後復興し急成長を遂げたのも国民ひとりひとりの向上心から。

しかしフィリピンでは向上心や自立心が育ちません。
助け合いと分かち合い、そして家族愛の強い国では誰かが何とかしてくれる、と言う他人に委ねる心が定着してしまいます。

自分が働かなくても親が食べさせてくれる。
食べるものがなければ誰かに甘えれば分けてくれる。

フィリピンではいくら貧困でも飢えで餓死してしまう人はほとんどいまん。
誰かが何とかしてくれるから。

スラム街を歩くとその現実がわかります。
昼間からビールを飲みギャンブルに夢中になっている男性の多さ。
家族は一日数百円での生活を余儀なくされている貧困ですが、酒やギャンブルに夢中になっている旦那さんを抱えている。
中にはシャブなどのドラックに手を染めている男性も。

彼らに明日の生活を豊かにしたいと言う向上心はありません。
今日が楽しければそれで良い。

家族愛が強いフィリピンではそのような人間でも家族や親せきが支えます。

自分が頑張らなくてもなんとかなってしまう社会では、貧困から抜け出せるわけもありません。
グローリアセブでは奨学金で支援している家族や貧困層の人たちにインタビューをしています。

あなたの将来の希望は?
母親はその質問に答えることはできません。

何故ならそんなこと考えたこともないから。

国民の20%以上を占める貧困層は、生活を豊かにしたいと言う向上心は箕臼です。

フィリピンのスラム街

縮まらない裕福と貧困の差

フィリピンにもお金持ちは存在します。
それも日本人が驚くような暮らしをしている裕福層。

小高い丘に建てられた豪邸には何人ものお手伝いさんが住み込みで働き、自動車は家族の人数分を保有。
運転手も住み込みで雇っている。

裕福層は街には出てこないので一般庶民と会う機会もありません。
裕福層は代々裕福な家庭だったり、ビジネスで成功した人、政治家など。

一方、社会を知らない貧困層は限られた生活範囲で収入を得る道を模索します。

路上で物売りをする家庭の子は物売り
ゴミ山でゴミ拾いをしているスカベンジャーの子はゴミ拾い
赤ちゃんを抱えて物乞いをする母親

教育も満足に受けていない彼らは、それ以外に収入を得る知識を持っていません。

貧困の連鎖です。

裕福も貧困も、これから先変わることはないのです。
すべては生まれてきた環境で決まってしまう現実。

貧困でも幸せなフィリピン人

では、裕福だから幸せで貧困なら不幸なのか。
貧困はいけないことなのか。

観光旅行ではなくボランティアや留学でフィリピンに来た人ならわかりますが貧困でもみんな笑顔で楽しそうに毎日を生きています。

それは幸せの価値観が日本人とは違うから。

家族と一緒にいれて貧しい食事でも食べるものがあれは幸せと考えるフィリピンの貧困の人たち。
他人と比較した生活の向上など考えてもいません。

裕福で不自由ない生活を送ってる日本人には想像できないフィリピン人の思考です。

貧困でも今日の暮らしにまずまず幸せを感じている

向上心や自立心を持たず、将来のことは考えない

貧困から抜け出すことが困難な社会のしくみ

フィリピンがいつまでも途上国であり続ける理由です。
でも、貧しい暮らしをしていても幸せを感じながら生きている人たちは世界にたくさん。

日本で報道される発展途上国の貧困のニュースと現実との違い。
困窮そうな映像を切り取り、暮らしが大変だと言うコメントだけを放送するテレビ番組では現実はわかりません。

もしあなたが現実の貧困社会を自分の目で確かめたければ、グローリアセブのボランティアプログラムに参加してください。

貧困でも笑顔で暮らすフィリピン人の理由がきっとわかるでしょう。

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