海外ボランティアで不安になるのは実際どんな場所に行くのか。
フィリピンのボランティアで訪問する場所と活動内容について、年間100名以上のボランティアを受け入れているグローリアセブが詳しく説明します。

セブ島の山岳地域

ボランティアの場所はリロケーション地域から

リロケーション地区って聞きなれない言葉ですよね。
フィリピンの市街地に勝手に家やテントを張り住んでいる人が役所からの命令で移転させられる地区を指します。

環境問題の観点や地域の開発事業のためスラムの住人は順次立ち退きを迫られるのです。

役所から立ち退き命令が出たら3か月以内に移転する。
居残れば強制的に地域開発が進められます。

立ち退きの条件として移転先の候補地が提示されます。
それがリロケーション地区。
ほとんどが山間部です。

土地代は無償の場合と安価で貸し出される場合があります。
住まいは自分で建てる。
その補助として移住者へは役所から一定の補助金も支払われます。

大体は同じスラムの住人は同じリロケーション地区へ引っ越して行きます。

ボランティアで知る貧困の放浪生活

ボランティアは支援活動だけでなく、貧困社会について理解を深めることも大切。

・スラムとはどういう場所にできるのか。
・なぜ移転されられるか
・移転先の暮らしは大丈夫か。

そのためにボランティアの初日は貧困層が元々住んでいた場所と移転先の環境と暮らしを見てもらいます。

最初に行く場所はの住人は、以前、市街地のショッピングモール脇の空き地でテント暮らしをし、小さな商売や肉体労働を糧にしていました。
地域の住人はおおよそ500名。
半数は子どもです。

保育園や教会、食料品を売るお店も並びコミュニティを形成しています。

貧困市民の仕事

住民の仕事は主にふたつ

山間部を流れる川から土砂を拾い細かく砕いてセメントの材料をつくる。
そしてセメント工場へ納品し対価を得る仕事。

市街地までバイクで客を運ぶ。
山岳地域から小学校やモールまでは徒歩1時間。
この間をバイクを走らせ乗客や学生を運ぶ仕事です。

果物や野菜を売る女性もいます。
市場まで買い出しに行き、生鮮品や食料品を道端で販売します。

フィリピン女性の仕事

これらは街から離れた山岳地帯特有の職種ですが、でも、一番多いのは街へ出て仕事を探す人たち。

他の地域からの人の往来がなく、住んでいる住人も限られる場所で商売をしても収入は限られる。
街に出て仕事を探した方が効率的なのです。

ボランティアで何をする

リロケーション地域へ到着したボランティアの皆さんが、最初に行うのは子どもたちとのアクティビティ。
場所はチャペルと呼ばれる小さな宗教施設。

まだ小学校に上がる前の小さな子から、小学生年代なのに学校に通っていない子まで、30人ぐらいの子どもがボランティアの到着を楽しみに待っています。

折り紙
お絵描き
ゲーム

グローリアセブが用意したアクティビィや、ボランティア自身で準備したアクティビティで子どもたちと1時間ほど交流。
その後、持参したお菓子を配給します。

セブ島の子ども

ボランティア活動はこれで終わりではありません。
交流会が終了したら集落に住む人たちにお菓子を配り歩きます。

山岳地域なので坂道を登って行きますが、アクティビティに参加した子どもたちも手をつないで一緒に周ってくれるので疲れなんて感じません。

貧困層が移住してきた環境、住居、暮らしぶりを視察しながら30分ほど。
持参した200人分のお菓子はいつの間にかなくなっています。

セブ島の子ども

さぁ、リロケーション地域でのボランティア活動はこれで終了。
手を振りながら見送ってくれる子どもたちとの別れを惜しみながら、次の活動先へ向かいます。

スラム地区で食事を配る

次に行く場所は劣悪な環境のスラム地域。
住民は海に竹の柱を立て、家を作り住んでいます。
竹と木の板で造られた幅50cmほどの道は所々破損していて家に帰るのも一苦労。

セブ島のスラム地区

この地域では役場と共同で子どもたちに食事を配給するボランティア活動を行います。
配る食事はルガウと呼ばれるフィリピンのお粥。

ボランティアの皆さんはお玉でお粥をよそい子どもたちが持参してくるお皿やカップに注いで行きます。

栄養を考えお粥には細かく切った野菜を混ぜ調理してますが、貧困の子どもは栄養よりも食べること、お腹を膨らますことが重要。
200人分のお粥は20分で品切れに。

貧困層が食べることをどれだけ大切にしているのかが実感できる瞬間です。

セブ島のスラム地区

リロケーション地区とスラムを比較してみる

海のスラムの住人も地域開発計画で、やがて山岳地域への移転を余儀なくされるでしょう。

日本人が見たら住環境は圧倒的に山のリロケーション地区の方が良好です。
自然に囲まれた山岳地域は空気もきれいで騒音もなく、汚染された水と空気の街中よりもよっぽと住みやすい。

でも、貧困市民の考えは違うのです。

住環境が良くたって食べていけなければ意味がない。
市街地に近いスラムにいれば日雇い仕事に就ける
人が多いから物を買ってくれる
学校や商店が近いから生活に便利

そう考えています。

実際、子どもの就学率は山間部よりも市街地のスラムに暮らす子どもの方が高い事実。
学校が近く歩いて行けるから。

セブ島の貧困市民

海外ボランティアは支援活動をするだけではなく、住民の生活環境を知り、貧困層の考えを深く学ぶことに意義があります。

今回はフィリピン セブ島ボランティアで初日に行く訪問先を紹介しましたが、ボランティア活動で注意することもあります。
詳しくはフィリピン セブのスラム街ボランティアでやることと注意をご覧ください。

 
 
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