フィリピン セブ ソーシャルボランティア体験談
迪子 大学5年
1週間のセブ島でのボランティア活動で、一番衝撃だったのはゴミ山の訪問だ。
そこにいる子供達が、ボロボロのビーチサンダルでゴミの上を走り回っている様子はあまりにもショックを受けるものだった。
ゴミの中のガラスの破片や金属類などが子供達の足に刺さったら、そこから感染症やさらには破傷風などの重篤な病気にかかる恐れもある。
さらに、そのゴミの上にテントのようなものをつくり、そこで生活している人々にも衝撃だった。
ゴミを拾って生活する、いわゆるスカベンジャーは、その子供もスカベンジャーとして生きるしかない、という話を聞いたときはどうにかならないかと感じた。
だが、子供達はそのゴミを売って生活して生きてきたので、その他の仕事をする術もないという現実的な問題があることがわかった。
でも、そんな環境の中にいる子供たちが、とても可愛くて、明るくて、そして素直で、その優しさに私たちが助けられてしまった。
スラムの狭い道を歩くときは自分の手を引っ張って、危ない箇所を指してくれたり、食事配給ではご飯を受け取っていない子供がいることを教えにきてくれたり、子供達からは優しさと愛をたくさんもらった様な気がする。
スラムの家庭訪問では、軽い病気であれば近くのクリニックで無料でいくことはできるが、重い病気や検査、薬の処方などは自費で受けるとのことだった。
特に、スラムのような地域では、病気になる子供達もそう少なくないはずであるが、ワクチンや検診など、基本的な医療すらも十分に受けられていないということを、実際に行ってみて強く感じた。
少し薬治療では治らない病気に対し、私が将来何かできることがあるのではないかと感じる。
私は今、医学部の5年生であるが、再来年から薬剤師として働くにあって日本の医療だけでなく、海外の医療の問題にも目を向けられるようになりたいと感じた。
日本では、まだ解明されていない病気や医療法に目を向けられがちであるが、海外では基本的な医療ですら受けられていない人々がいること、そして医療だけでなく、そこから社会的問題も強く繋がっているということを感じることができた。
今回出会った子供達の笑顔とその子供たちを取り巻く環境を守るために、自分ができることを考えるきっかけになった7日間になった。
セブ島でのボランティア活動は、一生忘れることのできない時間だった。
2022年9月
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