絢凪 駒澤大学4年

今回のボランティアでは、見るもの一つ一つが初めてで、常に凌駕されていました。
実際に体験したり話を聞いたりすることは、YOUTUBEで見た沢山の動画より何倍もショッキングで刺激的でした。
元々貧困問題やそこから発生する諸問題に興味はありましたが、今回を経て、ますます関心が深まりました。

スラムを訪問して感じたのは二点あります。
一点目は彼らには彼らの幸せの形があるということ。二点目は問題を解決するには様々なアプローチ方法を考える必要があり、多くの時間を要するということです。

スラムに住む方々は、限られた厳しい状況の中で、彼らなりの幸せを見出していました。
小さなことでも幸せを感じ、勉強することを楽しみ、困難な状況下でもやさぐれたりあきらめたりせず未来への希望をもつ姿勢は、勉強が出来るけどしたくない私との大きな違いだと感じました。


逆に、それぞれのスラムが抱える貧困、食、お金の問題もまた非常に強大でした。
特に川の上のスラムでは、お母さんたちに一番の困りごとを聞いた際、皆が口を揃えて“マネー”と言っていたのを覚えています。
政府からの支援や給料の不足、そういったことが病院、学校関係、その他諸々の不自由や不可能に繋がっていることを表していると思いました。

また、彼らが感じている幸せも、もっとお金があれば、より規模の大きな幸せになるのではないかと感じました。

加えて、スラムの開発や改善には様々な側面からの接触が必要であることを実感しました。

例えば、今の暮らしを守りたい、その言葉は、実際に住んでいない我々が彼らの暮らしや生活を改善するために手を出して良いのかという疑問に繋がります。

また、スラムにゴミが多いことは、繰り返す川の氾濫のほか、子どもたちが教育を受けていないが故に所かまわず捨ててしまうというのも原因であるということを知り、単にゴミの清掃をするだけでなく、子どもたちやティーンズ、更に大人たちへの教育の提供の必要性も暗示していると思いました。

更に、環境問題としてのゴミ山は、早く無くなったり閉鎖されたりした方が良いものではありますが、スカベンジャーにとっては命を繋ぐ貴重な仕事場であるため、ゴミ山を無くすという一つの行為に何十もの考慮事項があり、一朝一夕には解決しない問題であることがわかりました。

次に、政府と市民の関係についても多くのことを考えさせられました。
まず、政府に予算がなく焼却炉の建設ができないこと。
そして、貧困層への支援が追い付かない点、更に教育の提供困難など致命的な欠陥が多くありました。

問題の根本的な解決に向けては、政府との協力が必要不可欠です。
このことも、これらの諸問題は解決しようと思って解決できる問題ではないことを表していると思いました。
こういった問題に強いのは総合商社なのかなとも思いました。
民間企業だけでなく政府との協力もしながら事業を拡大し、様々な分野からのアプローチが出来るからです。


貧困問題の根本的な解決のために働きたいという意思は固まったものの、会社への就職についてはまだ悩みがありますが、将来のことを今一度考え直す良い機会にもなりました。

セブでのボランティア経験は、まさに“百聞は一見に如かず”を体現したものだったと思います。

どれだけ情報収集をしても、住人の本当の気持ちや現実はなかなかわかりませんでした。
実際に見て初めて知ったことが沢山あって、ボランティアに参加して本当に良かったと思います。

2023年9月

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