裕福層と貧困の格差
東南アジアの途上国 フィリピンの国民は裕福層と貧困に大別され、中間層と言われる人たちはごくわずか。
フィリピンの裕福層と貧困の違い、そして二極化する原因の雇用問題について。
フィリピンのお金持ちは日本の比ではない
お金持ちの定義は莫大な収入が定期的にあり、土地や預貯金の資産をたくさん持っている人。
フィリピンの裕福な人たちは小高い丘に建つ高級住宅地に暮らし、何人もの使用人と運転手を抱え暮らしています。
身の回りのことはすべて貧困の使用人に任せ、街に出てくることはほとんどありません。
外出するのは高級ホテルのレストランで友人や家族と食事を摂る場合や海外旅行に出かけるとき。
私たちが街で裕福層を目にすることはありません。
裕福な人たちはどのような人たちなのか。
・コンドミニアムや土地などを所有している不動産業
・すでに成功しているビジネスを親から引き継いだ親族
・海外でのビジネス成功者。または海外からの送金を受けている人
・政治家など権力者の一族
裕福層は中華系のフィリピン人に多いです。
収入は少なく出費が多い貧困の暮らし
貧困とは1日1ドル以下で暮らす人々のことを指します。
彼らは物売りなどで日銭を稼ぐか、裕福層に安い賃金で雇われ毎日ギリギリの生活を送っています。
フィリピンの法律では最低賃金は1日約1,000円と定められていますが、最低賃金で雇用されている貧困層はまずいません。
法外の賃金でも仕事があるだけマシ。
雇用主に文句は言えません。
また、貧困層は10代で出産するケースが多く、一家には5~7人の子どもがいます。
ひとりの子どもを養うだけでも多額のお金が必要です。
貧困家庭に生まれた子どもが裕福になるわけもなく貧困は増えるばかり。
フィリピンの雇用形態に問題が
国民が裕福と貧困に分かれて中間層と呼ばれる人たちがなぜ少ないのか。
そもそも中間層と言うのは日本独自の表現で、はっきりとした定義がありませんが、何となくイメージできるのは年収400~600万円のサラリーマン家庭を指す言葉だと思います。
ここで大切なのは年収の額ではなく定期雇用されているかどうか。
フィリピンでは定期雇用されているサラリーマンはごく少数なんです。
フィリピンの雇用は短期契約が主流で、雇用主はスタッフと半年毎の就労契約を結び、契約が切れると優秀なスタッフのみ契約を延長、他は契約満了で解雇します。
これがフィリピンの雇用形態です。
契約が延長されるのは一部の優秀な人材に限られ、他の人は賃金が安くても収入を求めて新たな職探し。
雇用主にとっては優秀な人間だけを残せる。
働く側はどんどん収入が減っていく。
よって雇い主だけが裕福になり、労働者は貧困になっていく。
これが貧困と裕福が二極化する構造的な問題。
使用者の立場が圧倒的に強く、労働者は逆らえない社会なのです。
貧困と裕福の格差解消は、法律や税制の見直し、行政サービスの拡充など、政府が取り組むべき課題。
しかし途上国フィリピンでは国の予算も少なく手が付けられていない状況です。
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