先生は子どものなりたい職業No1
発展途上国フィリピンの子どもに将来なりたい職業を聞くと、女の子の80%が小学校の先生と答え、男の子はエンジニアや警官、船乗りなど。
発展途上国では子どもたちに圧倒的に人気な職業は小学校の先生です。
学校の先生に人気が集まる理由は安定的な収入と社会的な信用を得るため。
途上国の貧困家庭に生まれた子どもは自分の家庭が貧困であるのを知っています。
モノ売りなどでその日暮らしをして何とか家族の食べる収入を稼いでいる親兄弟を、将来は楽にさせたいと強く思っている。
そのためには安定的な収入が見込める職業に就きたい。
公務員か学校の先生です。
日本の子どもとは違うなりたい職業と理由
第一生命保険が発表した日本の子どものなりたい職業。
女の子の第一位は、17年連続で「食べ物屋さん」でした。
第二位は「保育園・幼稚園の先生」
三位が「お医者さん」
学校の先生は第四位。
「教える」「助ける」が、就きたい職業のキーワードのようです。
フィリピンの女の子に将来なりたい職業を聞くと、8割の子が「学校の先生」と答えます。
途上国の子どもは将来の職業を夢ではなく現実的な視点で考えます。
何をすれば稼げるか、家族を養うことができるか。
そして自分にもできそうか。
もちろん学校の先生と答える子どもの中には人を教えると言う職業に魅力を感じている子もいますが、多くは家族を養う収入を得るのが目的。
そしてもうひとつの要因は子どもたちの生活範囲が狭く情報が限られるためたくさんの職業を知らないんです。
多くの職業を知っていれば違う職業を目指す子もいるかもしれませんが、学校の先生は子どもにとって一番身近な職業ですから必然的に先生と答える子が多くなります。
小学校の先生の月給は一般企業の三倍
小学校の先生の初任給は約5万円。
先生の平均月収は約8万円。
日給約千円の支払いが義務付けられているフィリピンでは、定職に就いていたとしても月2万5千円ぐらい。
小学校の先生がどれだけ多くの収入を得ているのかわかります。
先生には定年もありません。
もちろんその分、労働時間が多く激務ですが収入と将来に渡る生活を考えると、小学校の先生は子どもたちにとっては憧れの職業です。
教員試験の合格率は30%
大学の教育学部在籍中に小学校で200日のインターンシップ経験を積み、その後採用試験を受験します。
でも教員試験の合格率は約30%の現実。
不合格になった学生は大学に戻り数か月間勉強を重ね、また翌年の試験に挑むか、教師を諦め語学学校や塾の教師となる。
運が良ければ英語力の強みを生かし海外で働く場合も。
子どもの数が多いフィリピンでは教員を目指す同級生が多いため、ランクの高い大学で優秀な成績を収めている学生が競争を勝ち抜き、多くの学生は大学で教職の道を諦めてしまいます。
途上国は子どもの数が多く、ひとつの小学校で生徒数が数千人と言うのも珍しくありません。
しかし教師の人数は生徒数の約3%。
例えば生徒数1,000人の学校ならば教師は約30人です。
先生の希望者は多いですが、教職に就くのは難関です。
教師になっても楽な暮らしは約束されない
学校の先生になったからと言って決して裕福な生活が約束されるわけではありません。
教師の職業の収入は初任給でも一般の企業よりも良く、自分一人で食べていくのなら十分な収入を得れます。
ただ、先生になった本当の理由は家族を貧困から救うこと。
それなりの収入を得てもほとんどを親兄弟の生活費に充当しますので自分には残らない。
それでも学校の教師が職業として人気があるのは臨時雇用ではなく正規雇用されるから。
フィリピンでは期間雇用、日本でいうと契約社員契約が一般的で職業に就いても半年後にはどうなっているかわかりません。
学校の先生の場合は正規雇用ですので契約打ち切りなどなく、社会から一定の信頼が得られるのが理由として挙げられます。
定職がなく貧困のままだと社会的に信頼も評価もされません。
公立学校の先生の仕事は激務
授業料が無料の公立の学校には貧困家庭の子どももたくさん通っています。
クラス内の子どもの学力レベルも大きな差があり全員の能力を引き上げるのはとても困難。
先生は同じ授業内でも学力のある子と劣る子にそれぞれ対応した授業を薦めなければなりません。
また、文房具やお弁当を学校に持参できない貧困の生徒には教師が自分のランチを分け与えたり、他の生徒から文具を借りて貧困家庭の子どもに与える場合もあります。
学校での業務は膨大で朝7時前には登校し帰宅できるのは19時頃。
先生の大半は女性ですので帰宅後に自分の子どもや家族の世話もしなければなりません。
子どもはなりたい職業を即答
日本の子どもに将来なりたい職業を質問しても、多数の子ははっきりとは答えられません。
フィリピンの子どもはなりたい職業を即答する。
それは人生の目的が決まっているから。
子どもは自分の夢を追うことより家族の幸せを考え、そのための職業を選びます。
フィリピンの子どもに人気のある職業が学校の先生なのもそのためです。
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