あやか 日本女子大学2年
私はセブ島でのインターン活動を通じて、普段の生活では決して触れることのできない現実に出会い、多くの学びを得ることができました。
特に「川の上のスラム」と「ゴミ山」を訪問した経験は、私の価値観を大きく揺さぶり、人生観を見つめ直す大きなきっかけとなりました。
川の上のスラムでは、子どもたちに将来の夢や行ってみたい場所を尋ねる機会がありました。
驚いたのは、彼らが想像以上に明るく、そしてしっかりとした夢を持っていたことです。
「先生になりたい」「警察官になりたい」といった答えは、環境に左右されず前を向いて生きようとする力強さを感じさせました。
小さな体からあふれるほどのエネルギーとまっすぐな瞳に、私は強く心を打たれました。
同時に、限られた環境の中でも夢を抱き、それを言葉にする姿は、私自身が「恵まれた環境にいながら、果たして本気で夢を追っているだろうか」と自分に問いかけるきっかけにもなりました。
一方で、ゴミ山の光景は想像を超える厳しさでした。
辺り一面に広がる廃棄物の山は強烈なにおいを放ち、その中で子どもたちや家族が生活している姿は衝撃的でした。
靴も履かず、危険な環境で遊ぶ子どもたちの姿を目にすると、衛生や安全の面で多くの不安を感じずにはいられませんでした。
さらに、雨季には洪水によって家が浸水することもあると聞き、日常的に命の危険と隣り合わせである現実を知りました。
もし自分が同じ環境で育ったら、果たして夢を描くことすらできただろうか―そんな思いが胸をよぎりました。
しかし、驚くべきことに、子どもたちはそのような状況の中でも本当に明るく、笑顔を絶やしませんでした。
食事配給の場面では、自分が受け取った分をそのまま家族や友達に分け合っている姿がありました。
私が「お腹すいてるの?」と聞かれて「うん」と答えたときに、「じゃあ何か買ってあげるよ」と言ってくれた子もいました。
自分自身も決して豊かではないのに、誰かを思いやる心を自然に持っている―その優しさに触れた瞬間、胸が熱くなりました。
彼らの姿は「幸せとは何か」という問いを私に投げかけました。
物質的な豊かさだけが幸せの基準ではなく、人とのつながりや思いやりの中にも大きな幸福が存在するのだと実感しました。
また、スラムのすぐ近くに立派な住宅街が並んでいる光景も強烈な印象を残しました。
わずか数百メートルの距離で、まったく異なる生活環境が存在していることに強い違和感を覚えました。
もし私がこの地域で育ったなら、豊かな家庭と自分を比べて劣等感や不満を抱いていたかもしれません。
しかし、現地の子どもたちはそのような比較にとらわれることなく、日常を楽しむ姿を見せていました。
私は普段、日本で他人と自分を比べて落ち込むことがありますが、その姿を見て「比べることより、今あるものに感謝して前を向くこと」の大切さを学びました。
このインターンを通じて学んだのは、現地の人々からの温かさだけではありません。
共同生活やチームでの活動の中で、人と協力する力や思いやりを持って行動することの大切さも実感しました。
時には意見がぶつかることもありましたが、相手を尊重し、協力する姿勢を大切にしたことで、より良い関係を築けたと思います。
その過程で、自分自身の優しさや強みを再発見することもできました。
振り返れば、私は「現地に何かを与えたい」という思いでインターンに参加しました。
しかし実際には、子どもたちの純粋な笑顔や人々の優しさから、私自身が数え切れないほど多くのものを受け取ったのだと思います。
この経験は、単なる一時的な感動ではなく、私の心に深く刻まれ、これからの生き方に影響を与える大切な学びとなりました。
これからは、日常の中で「当たり前」と思っていたことに感謝し、周囲の人に笑顔や元気を届けられる存在でありたいと思います。
そして、セブ島で学んだ「人とのつながりこそが本当の豊かさである」という気づきを忘れず、今後の人生に生かしていきたいです。
2025年8月9月