セブの墓地
土葬が主流のフィリピンでは都市部にも墓地が点在し貧困層と犯罪者の住むスラムと化しています。

墓場のスラムに住む人の生活と子どもの将来について。

フィリピンの墓地の特徴

キリスト信者の多いフィリピンでは火葬は珍しくほとんどの場合葬儀は土葬で行われます。

土葬だと大きな広さの墓場がいくつも必要ですので商業地域や街中にも墓場がたくさんあります。
フィリピン郊外の広い土地を持つ墓場では畳一畳ほどの墓石が敷き詰められた、日本にある外国人墓地の形式ですが、市街地は敷地が狭いために下駄箱のようなつくりになっていてその中に棺桶を納めます。

おおよそ5年契約で墓場の一区画を借り、契約が終わると別の人の棺桶が納められます。

フィリピンの墓場

墓場に住む子ども

フィリピンの街中を車で走るといくつものスラムと墓場を見ることができます。
そして墓場には墓石を売る人、葬儀を手伝う人などに混じり、墓場を居住地にしている人たちも。

墓場に住んでいる人はふたつのタイプがあり、ひとつは勝手にベニヤ板やトタンで墓場内に家をつくり住んでいる不法居住者。
電気は無断で電線からケーブルを引き込み使っています。

もうひとつは所有者から許可を得て、所有者の墓地の区画を借りて暮らしている人たちです。

墓石の周りを板で囲み屋根を設置して住居をつくります。
墓石はテーブルやベットとして利用されます。

墓場には墓地の所有者と借りる人を仲介をする管理人が存在し、管理人は所有者への連絡や家づくりの手配をします。賃料はほとんどの場合無料。

フィリピンはカトリックの国ですので分かち合い助け合いの精神が強く、使っていない墓は所有者は無料で居住を許可します。

住むことができるのならば貧困層は場所など気にしません。

墓場の住居

スラム化するフィリピンの墓場

フィリピンにはスラム街と呼ばれる地区がたくさんありますが墓場もそのひとつ。

社会の目が行き届かないスラムや墓場はギャングによる麻薬、拳銃の密売、売春など犯罪の温床となっています。
一般のフィリピンの人たちもスラムには近づません。

昼間のスラムには子どもたちの笑い声が響き危険を感じることはありませんが、夜のスラムは特に危険。
昼夜問わずよほど現地に詳しい人と一緒でない限りは足を踏み入れないでください。

墓場で生まれたフィリピンの子どもの将来

スラム化した墓場にもたくさんの子どもたちが暮らし、そこから毎日小学校へ通っている子もいます。

彼らは墓場で生まれ育っているので墓場の生活環境には慣れていますが、犯罪が多いスラムに暮らしていれば将来犯罪者になってしまう子や麻薬、売春の道に走る子が大勢います。

スラムの子どもが犯罪者にならないために大切なことは教育と貧困からの脱出です。
フィリピンではスラムの子どもが学校へ通えるよう奨学金制度を導入したり、家庭に少しでも収入をもたらすために母親に内職を提供する教会やNGO団体がボランティア活躍を行っています。

この活動によってスラムの子どもでも教育を受け、栄養を摂ることができています。

裕福な家庭に生まれた子と比較すればとても大きなビハインドを持っているスラムの子どもですが、努力して奨学金で大学を卒業したり、定職に就く子もいるんです。

フィリピンからスラムがなくなることは数十年先までないと思いますが、例え墓場やスラムで生まれても周りからのサポートを受け、本人も努力すれば将来はきっと拓けます。

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