【SDGs目標5】ジェンダーギャップ削減の取り組み


世界経済フォーラムが公表したグローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート2021によれば、フィリピンは16位と、世界では男女格差の少ない国の部類です。
 
特に、女性の経済活動への参加状況とその機会の項目では、「専門職、技術職」は1位、「同一労働における賃金平等」は5位と優秀です。
 
しかし、これらの順位の基となっているデータはあくまで平均値であり、国民の2割を占める貧困層の家庭では、女性は無償労働に追われ、外で仕事をする時間を取ることができません。
 
2020-2021年の新型コロナウイルスによるパンデミックによって、さらに外出が制限されたことで、女性は今まで以上に洗濯や食器洗い、そして子供の世話など、無報酬の家事に多くの時間を取られています。
 
 
この記事では、フィリピンの女性の労働状況と、ジェンダーギャップをなくすための取り組みについて解説します。

女性の労働の7割が無給

人権支援団体であるオックスファムフィリピンが実施した調査によると、フィリピンの女性は1日平均で約9時間、男性は8時間働いています。   
 
その内、女性の仕事時間の71%が、洗濯、料理、病気の家族の世話など、在宅での無給のケア業務に追われ、収入を得る仕事かできていないことがわかりました。
 
男性の場合は仕事時間の68%が、稼ぎを得るための時間に費やされています。
 

・無給のケアワーク: 女性6.52h 男性2.43h
・有給の仕事: 女性2.60h 男性5.08h
 
 
その労働の弊害は女性の健康にも表れていて、フィリピン女性の役割国家委員会(NCRFW)によると、3人に1人は過去6か月間に家庭でのケア作業を通じて怪我、病気、障害、またはその他の形態の危害を経験しています。
 
上位3つの病気は腰痛、筋肉と関節の痛み、頭痛とめまい、ストレスと過敏性です。

SDGs ターゲット5.4

2015年の国連サミットで決定したSDGs(持続可能な開発目標)。
 
2030年までに世界から貧困を撲滅するために17の目標が掲げらていますが、その目標5では、「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」と定められています。
 
中でも、目標5の4では「家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する」とうたわれていて、家事や育児の男女平等を呼びかけています。
 
 
フィリピンでは、SDGsが採択される20年も前に「フィリピン ジェンダー開発計画 1995-2025」が策定され、女性を救うための男女平等開発プログラム事業に、国家予算の5%が費やされています。
 
それによって、世界ジェンダーギャップ指数では、優秀なレベルまで押し上げることができましたが、SDGsの決定によって、さらなる取り組みが行われています。
 

SDGsについての詳しい説明はSDGsで貧困を削減する取り組みと問題点をご覧ください。

 

ジェンダー公正の取り組み

女性の仕事を軽減し、ケアタスクの再分配を行うために、フィリピンでは法律の改正や新たな政策をつくり、インフラの整備やサービスの提供、そしてセミナーによる啓蒙活動の3つに力を注いでいます。
 
日本では考えられませんが、フィリピンの田舎や山岳地域には水道や給水所がないため、女性や子供が遠方まで水を汲みに行かなければならず、時間的にも肉体的にも女性の大きな負担となっています。
 
そのため各役場では、集落ごとに給水場の設置と上下水道の整備を進めています。
 
同時に、保育園の数を増やし、母親が送り迎えに要する時間の削減に努めています。
 
 
女性を救う取り組みはインフラの整備だけにとどまらず、夫婦を対象に、市町村の社会福祉事務所が主導する、無給の介護活動を理解するための介護対話会の開催。
 
また、教育省では学校教育を通して、育児や養育の分担、労働機会の男女公平、そして家族での助け合いなど、いままでの女性のイメージを変え、あたらしい男女の役割モデルを子どもたちに教えています。

家庭内でのコミュニケーション戦略

ジェンダーの平等には、家庭内の家事労働の分配が重要になりますが、そのためには夫婦間のコミュニケーションが欠かせません。
 
コミュニケーションがうまく取れないと、母親の負担や要望が夫や子供に伝わらず、何も改善されないどころか、夫の方は「妻は不満を持っていない」などと言った間違った認識を持ってしまいます。
 
そんな誤解が積み重なっていけば、夫婦間の溝はひろがり、女性は肉体的だけではなく精神的な負担も背負うことになります。
 
 
女性を負担から救うためには、家庭内での毎日のコミュニケーションと、相手への気遣いが重要になることは言うまでもありません。
 
そのために、社会福祉事務所や役場では、夫婦間のコミュニケーションを円滑にするためのセミナーを開催したり、問題のありそうな家庭には、セミナー後に家庭訪問をして相談に乗るなど、手厚いサポートを行っています。
 
 
このように、フィリピンでは国家も地方自治体も、弱者の女性を救うための施策をつづけてきた結果、男性の無給の介護労働に費やす時間が増加してきましたが、それでも女性の労働時間がまだ多いという事実はかわっていません。

グローリアセブのSDGsへの取り組み

フィリピンの貧困層の家庭の生活を支援している国際協力団体 グローリアセブでは、SDGsのジェンダーの平等を達成するために、3つの活動を行っています。
 
ひとつは、仕事がない母親に向けてのフェアトレード事業です。
特別な技能も知識も身に着けていない貧困層の女性が仕事を得ることは並大抵ではありません。
 
グローリアセブでは、ローソクやアクセサリーづくりなど、誰もが参加できる軽作業を依頼して、その売り上げを母親たちへ還元しています。
 
 
ふつためは子供の教育支援です。
 
家事に時間を取られ、我が子の教育や躾も満足にできない家庭の子どもたちへ、道徳や英語などの基礎教育を無償で提供しています。
また、奨学金制度をつくり、子どもたちを学校へ通わせています。
 
 
そして、三つ目は母親の生活相談です。
 
家族間の問題や将来への不安など、貧困女性は多くの悩みを抱えていますが、その悩みを相談できる相手がいません。
また、恥ずかしさもあり、知り合いには話せません。
 
グローリアセブでは、支援している家庭を定期的に訪問し、相談相手になったり、問題解決のためのアドバイスを行っています。

まとめ

ジェンダーギャップをなくすためには、女性の無償労働の時間を減らし、社会に出る機会をつくることが大切です。
 
そのために、フィリピンでは国や自治体が、さまざまな支援をしていますが、行政の手が行き届かない人たちがいることも事実。
それを補うのがNGOや教会などの非政府組織の役割です。
 
 
グローリアセブのような小さな国際協力団体にできることは限られますが、それでも多くのNGOが草の根的に活動をつづけていくことで、女性を無償労働から救い、ひいては男女格差がなくなる社会ができると考えています。
 
 
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