スラム街の人々を苦しめる感染症の流行

2020年2月、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の脅威が世界中を駆け巡りました。
 
フィリピンでも、感染者を広めないために、海外からの入国制限、外出禁止、ショッピングモールの閉鎖など、あらゆる対策を講じて予防と拡大の阻止に努めています。
 
街には何か所もの検問所が設置され、通行人の体温検査と身元の確認が行われています。
 
 
日本よりも何倍も強力な対策で国民の命を守ってきましたが、実はスラム街の住人にはほとんど関係のない対策です。
 
理由は、人との隔離と衛生を保つことが、スラム街ではほぼ不可能だから。
 
スラム街の人たちこそ、コロナウイルスをはじめ感染症の脅威にさらされている。
 
 
スラムの人たちはなぜ、感染リスクが高いのか、そして、感染症が流行すると暮らしが困窮する理由について、フィリピンの貧困層への支援活動を行っているボランティア団体、グローリアセブが説明します。
 

 

スラム街のリスク

スラム街

居住環境
スラムの住人は、空地だった場所にバラック小屋を建てたり、テントを張って生活しています。
住まいは2メートル四方ほどで、隣の家との幅は20センチほど。
トイレも風呂も台所もありません。
 
そんな居住環境に、10人ほどの家族で暮らしているのが一般的です。
 
 
新型コロナウイルスなどの感染症は、お年寄りと子どもに高いリスクが生じることは、WHOのデータからも明確ですが、家族を大切にするフィリピン人は、家の中で、おばあちゃんやおじいちゃん、そして孫と、狭い家の中で濃厚接触している時間がとても長いのです。
 
 
からだを清潔に保ち、人との濃厚接触を減らすことが感染症の拡大に効果があると言われていますが、スラムでは、その真逆のことが行われています。
 
暮らしのリスク
スラム街では調理や洗濯などの家事は、道路や空き地などの共用の場所で行われています。
子どもたちが遊ぶ場所も、共用のスペースです。
 
自分が衛生面を気遣ったとしても、周辺住人との共同生活に等しいので、防ぐことはほぼ不可能です。
 
 
魚や肉の購入は露天のお店を利用します。
 
ショッピングモールやスーパーマーケットでしたら、従業員や客に対して厳しいルールが敷かれています。
レジに並ぶ列は1メートル以上空けること
支払やお釣りの受け取りは、専用のボックスを利用
客の体温検査
など。
 
でも、露天はノーチェック。
たくさんのお客さんが、食べ物の前でおしゃべりしながら、食材を買っていきます。
 
習慣がもたらすリスク
フィリピン人は、スペインやイタリアと同様、おおらかで明るいラテン系の国民です。
 
大きな声でしゃべる
ハグや握手をする
細かなことは気にしない
 
日本の文化にはない、フィリピンの魅力ですが、新型コロナウイルスのように、せきやくしゃみによる被膜感染をする病気の場合、これらの習慣は、感染を広めてしまうリスクにつながります。
 
 
 
密閉、人が多い、会話が多い
 
スラムには、感染が広まる3つの危険性が揃っています。
 
スラム街

疑いがあっても病院に行けない

咳が出て、37.5度以上の発熱のある人は、インフルエンザなどの感染症が疑われます。
 
ある程度、お金に余裕のある人なら、すぐに病院や保健所に相談するでしょう。
 
フィリピンでは、ヘルスセンターと言う、無料で診察を受けられる施設が役場に併設されています。
普段は風邪などの軽度な病気や、ケガを診る施設ですが、新型コロナウイルスのような感染症には対応できません。
 
 
大きな病院に行き、検査をする必要がありますが、高額な費用がかかります。
入院ともなれば、1日1万円以上。
 
 
毎日を200円~300円で暮らしているスラムの貧困層にとって、たとえ症状が出たとしても、病院に行くと言う選択肢はないのです。
 
感染症の疑いがあっても、家で寝ているだけ。
その間に家族や周辺の人たちに、病気を拡散してしまいます。

スラムは監視されない

フィリピンでは、感染防止のため、国家警察や自治体の職員、またガードマンが24時間、警備や監視にあたっています。
しかし人的な問題から、観光地やモールなど、たくさんの人が集まる場所や、主要道路に限られ、スラム街にまで手が回っていません。
 
スラム街では、夜間に警察が見回りに来る程度。
スカベンジャーが暮らすゴミ山は、ほぼ放置されています。
 
 
人的パワーは限られるので、人の出入りが多い場所から順に感染防止策を強化する理由は理解できます。
スラムは、そこに住んでいる貧困層だけが暮らす場所なので、人の出入りは多くありません。
 
ある意味、隔離された場所です。
 
現地の役場のスタッフが、住民の様子をチェックしてますが、感染防止策までは行われていません。
 
スラム街

感染症の流行で仕事がなくなる

貧困層の人たちの仕事は、主に物売りか荷物運びです。
しかし、外出禁止や企業の一時閉鎖が定められた街では、今までの仕事では収入が得られなくなります。
 
・路上で、道行く人に食べ物を売っていた人たち
・土産物づくりの内職をしていた人
・海外から運ばれてきた荷物を運搬していた人
・観光地で物乞いをしていた人
 
 
感染症の予防策で街から人が消えれば、家でじっとしているしかありません。
収入はゼロになります。

フィリピンのスラムの現状

世界のスラム人口は2030年までに20億人に達すると言われています。
そして、東アジア・太平洋地域におけるスラム街は、特にフィリピン、インドネシア、中国に多いとされています。
(世界銀行調べ)
 
 
これらの国に共通するのは、経済が急成長している発展途上国。
 
経済の発展に伴い、人々は仕事を求めて都市部へ流入します。
しかし、都市部にも産業は少なく、仕事を得らない。
 
住むあてもなく都市に出てきた貧困層は、伝染病のリスクにさらされるスラム街に暮らすことを余儀なくされます。
 
 
 
フィリピンのスラム街のひとつ、トンドは首都マニラから至近の場所に広がっています。
住民の多くは、仕事を求めて地方から大都市へやってきた人たちです。
 
トンドは世界で有数の人口密集地帯とされ、人口密度は64,868人/km2。
東京都の人口密度は9,153人/km2ですので東京の7倍です。
 
 
 
隔離と衛生が、感染症から身を守るふたつの有効手段です。
しかし、不衛生で密集した環境に住むスラムの住人は、そのどちらも現実的ではありません。
 
 
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