家が突然ゴミの山に囲まれた

フィリピンのゴミ山で生活している子どもたちは、元々ゴミ山だからそこに移住してきたわけではありません。
住んでいた場所の地主がある日突然清掃業者と契約しゴミ捨て場として許可したため、ゴミが擦れられるようになったのです。

不法に居住している住民も多いため文句を言うことはできず家の周りが日に日にゴミの山で覆われていく。
生ごみにハエが集まり異臭を放ち、汚水もたまり子どもにとって劣悪な環境となっていきます。

そんな住環境でもほかに行く場所のない住人はゴミの山に囲まれた地域に住み続けますがそれも長くは続きません。

お金持ちの地主は自分の収入のために土地活用をしているので、ゴミの廃棄場よりも儲かりそうな活用方法を見つければ住民に移住命令を出します。

典型的な例がゴミ山の跡地にコンドミニアムやホテルの建設。
ゴミ山の子どもたちの生活は一変します。

セブのゴミ山

住む場所もないスラムを追いやられた子ども

移住期限は3か月以内、住んでいた家を撤去してゴミ山から出ていかなければなりません。
移住先の候補地は行政や地主から提示されますが、移住先も他のスラムから強制移住を命じられやってきた大勢の人々が押し寄せてくるので住む土地はすぐに埋め尽くされる。

比較的土地に余裕のある山岳地域だと住む場所はありますが街から離れた場所で生活しても収入のあてはなく、海沿いや川沿い、街中の移住先に人気が集中し、それらの場所はすぐに埋まってしまいます。

行き先を失ったゴミ山の子どもたちの選択肢は3つ。
・生まれ故郷の遠い島へ帰る。
・親戚の家に一時的に身を寄せる。
・海や川の上に家を建て生活する。

一番多いケースが海や川の上にスラムをつくり生活をはじめるパターンです。

ゴミ山に生まれた子どもは貧困社会の被害者

生活に便利な市街地に土地が見つけられなければ海や川の上に居住地を作ってしまう。

ゴミ山の住人たちは川の上に柱を建て、四畳半程度の広さの家をつくりそこで新しい生活をはじめます。
水辺なので大雨が売れば水は家の中まで押し寄せてきます。
地盤が弱く家が傾くことも。

それでも他に行く場所のない人々はしかたなく移住しますが、子どもにとって劣悪な環境に変わりなく子どもの健康や安全を考えるとゴミ山と大差ありません。

本来は政府や行政が移住先を斡旋しなければならないのですが、貧困層が多いフィリピンでは不法居住者のスラムからスラムへの移住が日々行われていて行政も手が回らない状態です。

フィリピンの貧困社会と大人の都合でスラムを渡り歩く生活を強いられる子どもたちは社会の被害者。

子どもは、生まれてくる国や家を選ぶことはできません。

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