蒼良 慶應義塾大学1年

学びの機会を与えたいという思いでフィリピンの小学校インターンに参加しました。

しかし、与えようとする過程の中で、逆に子供達から多くの学びや素敵な思い出をもらっていました。

その中でも特に驚かされたことは、フィリピンの子供たちの「学習意欲の高さ」です。

みんな先生をまっすぐに見て、授業を聞き、先生がいない間でも真剣に課題に取り組んでいました。

積極的に挙手や発言をする生徒が非常に多く、授業中に居眠りをするような子は全くいませんでした。

中には先生に当てて欲しくて、先生が質問する前に手を挙げるような子までいました。

このような、日本では考えられないような、子供達の授業への熱心さが強く印象に残っています。

日本とフィリピンの子供達の授業態度の差は、主に両国の「進学制度」の違いに起因すると思いました。

日本では、義務教育である小学校、中学校は成績が不十分でもほぼ確実に進級できます。

不登校でほとんど登校したことがない子でも、卒業が認められる場合が多いです。

一方で、フィリピンの小学校では、成績が及第点に満たない子は容赦無く留年させられるそうです。

グローリアセブの代表の斉藤さんから、赤点が75点であり、赤点の科目が一定数に達すると留年する、とお聞きしました。

公立の小学校では、貧しい家庭で育った子供も多く通っています。

フィリピンの小学校は授業料が無料ですが、制服代や教材費等を払えない家庭も多くあります。

2から3割の生徒は貧困が原因で退学を余儀なくされ、小学校を卒業できないと言います。

そのような環境下で育ったフィリピンの子供たちは、教育は必死に受けて当然、という認識を持っているのかもしれません。


積極性の違いは、確かに国民性の違いに起因することかもしれません。

ですが、どこの国の子供でも学びへの意欲、積極性は本来持っているものだと思います。

日本の教育制度は、詰め込み教育や受験戦勝と揶揄され、長らく改革の必要性が叫ばれています。

日本はフィリピンの教育から学ぶべきことは多いと強く感じました。


子供たちと本当に仲良くなることができ、一緒に過ごせた時間はかけがえのないものです。
一方で、目を背けたくなるような「貧困」も何度も目の当たりにしました。

クラスにはお弁当が白米だけの子も多くいました。

一歩学校の外に出てみると、僕が乗るタクシーの窓を叩いてお金を無心する少年、レストランのガラス越しに物乞いする子供達。

貧困で教育の機会や、将来の可能性を奪われている子供たちが、フィリピンだけでなく、世界中で多くいます。


私は、世界中の子供達が不自由なく勉強できる世界をつくりたいと思っています。

その目標を達成するために、自分自身もこれからの学びを大切にしていきたいです。


フィリピンで、多くの素敵な人たちに出会い、今まで気づけなかった学びを得られました。

参加して良かったと心から思っています。

インターンで学んだことを胸に刻んで、これからも目標に向かって頑張っていきたいとです。

2023年9月

海外の教育スタイルを学ぶ、フィリピン小学校インターンシップ