都市部に密集する貧困街
貧困層の人たちは都市部の川沿いや海沿いに家を建て住みつきます。
理由は都市部なら仕事があるから。
マニラやセブの中心部には不法居住者が暮らすスラム街がたくさんあります。
スラムでは合板とトタンで簡易な住居をつくり大家族で寄り添うように生活します。
都市計画などされていない都市部のスラムには3畳間ほどの小さな家が隣接し抜ける道の幅は50cmほど。
スラムの住人が最も不安を感じているのは火災。
建築基準も防火性も関係なく、ただ住むために隙間なく建てられた木造の家。
隣の家とは10cmほどの間隔しかなく火災が起きたら防ぎようがない。
火事が起きたら家族で手に抱えられるだけの荷物を持ちその場を逃げ去るだけ。
火事の原因は漏電と火の不始末
スラムにも電柱が建ち電気は通っています。
しかし電気代を払えない住人は電柱から勝手に配線し自分の家に電気を引き入れている場合も珍しくありません。
決められた容量以上に付加が掛けられた電線はショートします。
また、大雨で電柱や配線ケーブルが水に濡れ漏電し火災を引き起こす。
タバコのポイ捨ても火災原因のひとつ。
フィリピン人はゴミをポイ捨てする悪習慣があり、タバコも遠慮なく道端に捨てます。
特に乾季はタバコの火が家に燃え移り火災を引き起こします。
消火器など持っていないスラムでは、ほんの小さな火種で大火災に。
消防車も入れない都市の貧困街
フィリピンの消防署も24時間体制で消火活動にあたっています。
しかし、狭い路地と無計画に建てられたスラム市区では消防車が利用できず、火災現場がホースも届かない場所なら消防士でもバケツで水を掛けるしか消火手段がありません。
失火場所が大通りに面していれば消火活動も可能ですが、都市部の貧困街は1ヘクタールほどの広さがあり、通路には露店も並んでいて消防車はなす術がない。
消防士にできるのは住民を避難させ鎮火を待つだけ。
スラムの火災を無くすには
火事で焼け出された住人は一時避難場所として体育館で生活します。
役場から食事や寝具が配給されますが、大部屋の体育館での暮らしは、住処の確保ができるまでプライベートのない場所での生活を余儀なくされます。
ほとんどの被災者は元住んでいた場所に戻ることを希望し、多少お金に余裕があれば新たに家を建て、なければブルーシートを屋根代わりにしたテント暮らし。
住んでいた場所には愛着があり、そこで収入も得ていたので、また火災のリスクに怯えながらもスラムに戻っていきます。
フィリピンでは毎年数千件の火災が発生していますが、そのほとんどが都市部のスラム街に集中。
原因を探れば住人のモラルの改善で火災を減少させることができますが、毎日必死に生きている貧困層にモラルを優先させることは至難。
耐火性のある家、消火器の設置、都市計画。
日本で当たり前のことを言っても貧困層には通じません。
フィリピンで火災が起きる原因は国民の貧困が理由。
最も大切なのは火事が起きてからの支援ではなく、起きないようにする事前の啓蒙活動です。
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