フィリピンはアジアで一番男女格差の少ない国
フィリピンのボランティアに参加するとフィリピン女性の強さと貧富の格差を強く感じます。
フィリピンでは男女格差が少なく女性上位の国。
社会に出て働きお金を稼ぎ家族を養っている女性がとても多く、家庭では父親よりも母親の方がイニシアチブを握っています。
企業や学校、役場、病院などの公共施設では管理職の大半が女性職員で占められ、多くの女性が社会の最前線で活躍しています。
世界経済フォーラムが発表した2016年版の男女格差報告によると、フィリピンは海外114か国の調査対象の内、男女格差の少ない国として7位にランクされ、アジアでは1位。
フィリピンは識字率や就学率の教育分野、男女の寿命の差など健康分野で最も格差が少なく1位を記録しています。
男女の格差が少ない理由
海外、特に東南アジアでは女性が社会に出て働く文化が昔からあります。
家族を守るため、子どもに食べさせて学校へ通わせるために自分が働かなければと思う意識がとても強く、女性はフルタイムではなくても収入を得られる仕事を一生懸命に探し働きます。
この状況は中低所得者に特に目立ち、畑仕事、行商、洗濯や掃除の請負、露店販売など母親は子どもを守るために汗水流しています。
またフィリピンの女性は社交的で積極的な性格の人が多く、男性よりも社会で目立った存在だと言うことも理由のひとつです。
子どもも親の姿を見て育ちますので、家庭で母親が強ければ子どもも女の子の方が強くなります。
公平が尊重されるカトリックの精神
フィリピン国民の大半はキリスト、カトリック教徒。
キリスト教徒は海外ではヨーロッパやアメリカに多く、アジアでは唯一フィリピンだけ。
カトリックの精神は平等と公平。
社会的な待遇、生活、教育など性別にかかわらず公平さが求められることも男女格差の少ない理由のひとつかもしれません。
深刻なフィリピンの貧困格差
性別による格差が少ないフィリピンですが、一方で経済格差、貧困格差の大きさは社会問題になっています。
フィリピンには中間層と呼ばれる人は少なく、一握りの裕福層と多数の貧困層に大別され経済状況や生活水準に大きな開きがあります。
なぜフィリピンでは貧困格差が生まれるのでしょうか。
仕事がない
フィリピンの国民は1億人ですが、企業や産業が少なく就労人口と働き口のバランスが取れていません。
事業で成功した人や海外に出稼ぎに行き海外送金で暮らす人々など一部の裕福層以外は仕事をしたくても仕事がない、または日雇いで収入が安定せず裕福層との貧困格差は広がるばかりです。
産業の発展が国民の人口に追いついていないフィリピンでは、大学を出ただけではファストフード店のカウンターに立てるのが精いっぱいと言われています。
マニラ一極集中型の地域格差
発展するフィリピンの首都マニラとその他の地域とは大きな地域格差が生じています。
経済がマニラ一極に集中しその他の地域は取り残されている状況。
例えばフィリピン第二の都市セブの場合、セブは観光資源がありIT産業の発展、語学学校などフィリピンの他の地域と比較して経済的な恩恵を受けていますが、それでも良い仕事に就けるのは一部の優秀な若者に限られセブにも貧困層の人たちが大勢暮らしています。
フィリピン第二の都市でこの状況ですので他の地区とマニラとの経済格差は計り知れません。
教育の格差
裕福層の子どもは幼稚園から大学まで私立の学校に通い、貧困家庭の子どもは公立。
私立と公立では授業の質や教育設備に大きな差があります。
学校に通えるのでしたらまだ良い方で学費や学用品代を払うことができず小学校中退も珍しくはありません。
良質な高等教育を受けた子どもは社会的な信頼や立場を得て良い職に就くことができますが小学校中退では仕事を得るのも困難で、裕福層と貧困層の格差は開くばかりです。
このような格差社会の解決には国の政策が大切なのですが、フィリピンの貧困格差は根が深く、何十年も掛かる問題ですので政治家もあまり手を付けず野放し状態と言っても過言ではありません。
海外のボランティアで格差社会を知る
東南アジアやアフリカなど海外の途上国には貧困に苦しんでいる地域が多く、日本をはじめ先進国から多くの助成金や人的な支援が寄せられています。
政府だけではなくJICA、NGO団体、民間企業による教育、食糧、インフラなどのボランティア支援も盛んです。
海外のボランティアと聞くと自分にはハードルが高そうと考える人も多いですが、大学生でも女性でも誰でもが参加できる海外ボランティアもあります。
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