フィリピンの貧困家族

途上国と日本で異なる貧困層への支援方法

医療費の減額や衣食住に関する給付金の支払いなど日本での貧困支援は主にお金にまつわる対策が多く、それらは生活に困窮する貧困者にとって大きな支援となっています。
 
 
しかし途上国では一時的な経済支援ではなく、貧困者が自らで稼ぎ収入を得ることのできる技能の習得や雇用機会の提供など継続性のある支援求められている。
 
フィリピンで行われている貧困者の自立支援について。

なぜお金が支援にならないのか

途上国フィリピンには街中に貧困者が溢れ路上で寝泊まりをしている人も大勢います。
 
裸足の子ども
パンツを履いていない子ども
赤ちゃんを抱っこして物乞いをする母親
 
 
その姿を見れば食べ物やお金を渡したくなる気持ちになります。
 
もしお金を渡したら空腹を満たすため彼らはすぐにごはんやパンを買うでしょう。
一時的にお腹は満たされますが時間がたてばお腹はまた空きます。
 
 

物乞いをしているとお金をもらえるのだったら働くことなど考えず、また物乞いで誰かに何かをもらえば良いと考える。
毎日この繰り返しの生活が彼らに待っています。
 
 

お金をもらったらそれを元手に何か売り物を仕入れ、それを販売して収入を得るような活動をすればお金も自立支援になりますが、毎日の食べ物を買うだけではお金は逆に貧困の自立を阻害する行為になってしまいます。
 

フィリピンの自立支援

収入を得る手段を知らない貧困層

物乞いをしている人は物乞いでしか収入を得る術を知りません。
ゴミ山のスカベンジャーはゴミ拾い。
路上でモノ売りをする子ができるのはモノ売りだけ。
 
 

収入を得る術を知らない貧困家庭に生まれた人たちに、技術を教えたり彼らを雇用する場を提供することで彼らは将来に夢と希望を持つことができます。
 
それは難しい技術を覚えるのでも、高額の商品を作れるようになることでもありません。
簡単に作れて売りやすいもの。
 
作り方が難しければ支援対象が限られ、売れにくいものだと日々の収入が見込めないからです。
 
 
モノ作りは子育てや家事も担っている母親が行うので片手間でもできて、低額でも毎日収入が見込めることが条件。
フィリピンのスラムや貧困街では日用品と食品づくりが盛んに行われています。
 

フィリピンの自立支援

母親への自立支援は手軽なモノづくり指導を

カトリックの国フィリピンでは宗教行事に使うローソクや飾り物の需要が高く、それらは簡単に作れて単価は安いですが確実に売れます。
 
ローソクはワックス、糸、そして竹の棒があれば45分で20本つくれる。
植物の葉を利用する飾り物でもひとつ3分。
 
 
バーベキューや総菜などのおかずづくりも日銭を稼げます。
自分の家や軒先で調理し、路上で販売すれば一品10円ほどで売れる。
 
 

貧困層への自立支援活動は、最初に必要な道具と材料を提供し、作り方の指導を行う。
つくるのも売るのも難しくない、
これがポイントです。
 

職業訓練校の授業料は15,000円

貧困家庭の父親は技術や能力を持っていないため、主に力仕事で日銭を稼いでいます。
しかし日雇いのためいつ仕事があるかわからず収入が安定しません。
 
 
自動車整備、電気修理、大工など見よう見まねで仕事を手伝っている男性はいますが、職業訓練校で技術を学び修了した人でなければ社員として雇ってはもらえない。
 
職業訓練校には3週間通います。
授業料は約15,000円。
 
この期間は日銭を稼ぐことができず、まして授業料も支払えない多くの貧困男性が、いつ来るかわからない日雇いの仕事を待っている状況です。
 
 

職業訓練校に通う3週間のあいだ、家族の生活を支援するプランもあります。
 
それは行政のサポートではなく現地NGO団体などの支援で、父親が稼げない期間、家族が生きていくための食料品を提供しその費用は父親が定職に就いてから毎月少額づつ返金してもらうプログラム。
 
これによって父親は家族の食事代の心配をせずに職業訓練校で技術の習得に励めます。

 

フィリピンの自立支援

雇用機会を創出するフェアトレード

フェアトレードとは途上国で生産された商品が適正な価格で売買される仕組みを指します。
 
アフリカや南米のコーヒー豆の栽培が有名ですが、フィリピンでもアクセサリーや民芸品、服飾品などを製造するフェアトレード工房が存在し、貧困女性を雇用して彼女たちの生活と自立を支援しています。
 
 

フィリピンをはじめ東南アジアの発展途上国は、国民の人口と比較して産業が極端に少なく貧困層が正規雇用される可能性が極めて低いのが事実。
貧困でも働ける職場、雇用機会の創出は貧困層の自立支援に多大な貢献をします。
 
 

英語が話せる
社交的
手先が器用
 
フィリピン人の特徴を活かした雇用機会をつくることも貧困層の自立支援につながります。

日本の当たり前は海外では通用しない

海外の途上国で貧困層の自立を支援する活動を模索している方も多いと思います。
海外にはその国独特の文化風習、国民性がありますので日本人の感覚はそのままでは通用しません。
 
良いと思ってやった支援が逆効果になってしまったり長続きしなかったり。
フィリピンでもそのような例が数えきれないほどあります。
 
 

海外で支援活動を行いたい、研究したいと考えている方々に途上国の特に貧困層と言われる人たちの性格を記しておきます。
 
 

お金がなくても仕事より家族を優先する
ルールに強く縛られることを嫌う
理屈や理論ではなく感情や感覚で判断する
 
 

フィリピン セブで活動するグローリアセブでは、子どもを抱えた貧困の母親たちが収入を得るための支援を続けています。
 
自立支援とは支援者側の思い込みや一時的な行為ではなく、支援を受ける対象者が自らの力で継続していける行為です。
 
 
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