あみ 東洋大学2年
私がグローリアセブのインターンに応募した理由は「貧困の現状を知りたかったから」です。
中学生ぐらいから貧困問題に興味があり、「なんで世界は平等ではないのだろう?」と疑問をずっと持っていました。
そして大学のプログラムでセブ島留学があり、貧困地区に行ける内容だったので応募し行ってみたものの、自分が思っていたようなスラムの現状を知ることができず、そこでもっとリアルなセブのスラムの現状を知りたいと思いました。
セブ島での生活経験があったのと、より長くボランティアをしたかったためインターン生として応募しました。
墓地のスラムやゴミ山、川の上のスラムなど様々なスラムに行きましたがどれも衝撃的で、自分が思っていたよりも酷い衛生環境だったり、臭いがしたり、自分の知りたかった「リアルなスラムの現状」を知ることができました。
そんな中で自分が感じたことは、子供たちの明るさです。
どこのスラムに行っても子供たちは私たちを明るくフレンドリーに受け入れてくれて、そこにはスラムに住んでいることを感じさせないような子供たちの明るさと笑顔がありました。
私はこのグローリアセブのインターンに来る前に自分の中で決めたことがありました。
それは、「子供たちにたくさんの愛を与えること」です。
なぜ自分がこの思いを持って参加したかというと、以前留学していた時にスラムの子供たちと関わって、自分は大金をあげてこの子たちの生活を良くすることも、何かしてあげることもできないけれど、少なくとも自分が出来る事は「たくさんの愛を与えること」だと感じたからです。
私は誰よりも子どもが大好きなのだとそこで気づき、だれよりも大きく愛してあげられると思いました。
今回もずっとその気持ちで色んな子供と関わって愛を与えてきたつもりだし、そう出来たと心の底から言えます。
でも振り返ってみると、私の方が子供たちから大きな愛をもらっていました。
いつも私が来たら名前を呼びながら笑顔で駆け寄ってきてくれて、いつもかわいいとたくさん褒めてくれて、お金がない中でも私のために何かくれたり、気づけば私の心が愛で満たされていました。
それはなぜかと考えたときに、もちろんフィリピン人のフレンドリーさもあると思いますが、スラムに住んでいる彼らは生活の中の小さい幸せに目を向けることができていて、家族を大切にしていて、日々のありがたさに気付けているからではないかと思いました。
それに比べて自分は騒々しい都会の中で周りについていくことにいっぱいで、日々の生活のありがたさ、家族と当たり前に過ごせることの大切さに全く目を向けられていなかったことに気付き、日本での生活を見直す良いきっかけになりました。
そして愛をもらっていたと気づいたときに、同時に気づいたことがあります。
それはボランティアは意外にも自分が何かを「与える、してあげる」立場かと思いきや、「与えられている側」だということです。
私が感じたのは子供たちから愛をもらっていることだけでなく、当たり前の生活のありがたさに気づけたり、学校に行って学べる事、食べたいものが食べたい時に食べることができる環境、ほしいものが欲しいときに手に入る環境、全てが当たり前ではないのだと気づかせてくれたのは、子供たちのおかげだしこのボランティアに来たからこそ気づけたことです。
確かに私たちは食事配給もしたり、服を配ったり子どもたちにも与えてはいますが、それ以上に自分たちが気づかされて、与えられているものが多いと感じました。
最後にもう一つ感じたのは、「人の幸せは環境によって決まるわけではない」ということです。
学校の授業で国際協力について学んだ時に、私たちから見たら支援が必要に思える環境でも、そこに暮らしている人たちは今の環境を変えたいと思っていなくて、その生活に幸せを感じている場合もあるということです。
そのことを知った上でこのボランティアに参加してみて、ボランティアは自分のエゴなのではないか、本当に必要なのだろうか、今ある幸せを無理に変えてしまうことになるのではないか、と疑問に思いながらボランティア活動をしていた時期がありました。
自分のエゴなのではないかということについては、子供たちにも助かる支援をしているし、子供たちが子供たちらしく笑顔でいられる時間があるから自分のエゴを押し付けているわけではないのかも、という結論になんとなく行きつきました。
ですが、その他の疑問についてはまだ自分の中で答えが見つかっていません。
家庭訪問をするたびに、この子たちには私たちが来ることで何がプラスになっているのだろう?私たちは子供たちの事情をただ質問して、彼らにしてあげられることは何もない、子供たちの視野を広げてあげるために良い機会だと代表や周りも言っていたけど、叶うかわからない夢を見させてもしかしたら知らない方が幸せかもしれないことを教えて、その夢が叶わなかったとき、残酷なことをしているだけでは?とずっと思っていました。
でもあるボランティア生の感想で「現実不可能な夢を持たせすぎてしまうことは残酷なことかもしれないけれど、選択肢を増やしてあげることはしたい」という感想を見て、自分の中でつっかかっていた心のつかえがなくなった気がしました。
確かに、残酷な部分もあるかもしれないけれど、子どもたちには子供らしく夢を見させてあげたいし、簡単なことではないことは100も承知だけど、自分が彼らの夢を叶えてあげられるようにできることをしたらいいのだという結論に至って気持ちが軽くなりました。
グローリアセブのボランティアに参加してリアルなスラムの現状を知って逆に、これから自分が何をするべきなのか、本当に自分がしたいことについてわからなくなってしまいましたが、ボランティアに参加していなければ気づけなかったことなので、また大学生活を通して考えていきたいと思いました。
何もできない自分にもどかしい気持ちにもなったし、悲しい気持ちにもなりました。
でも私はその違和感を、その感情を忘れないことが大事だと思います。
そして覚悟していたよりも貧困問題を解決することは簡単なことではなく、改めて解決するには難しく、複雑な問題だと思いました。
このボランティアに参加してよかったなと思う点は、もちろん貧困の現状を知れたこともありますが日本の色んなところから来ていて、生まれ育った環境も違うけれど同じように貧困問題に興味がある仲間と出会えて、意見を交換して視野が広がること、大学や社会人になって勉強している分野やしている仕事は専門的になると思うのでなかなか同じように貧困問題に興味がある人との出会いが少ない中で、そういった人たちと出会えたことだと思いました。
自分が思っているよりもいろんなことを学び、色んなことを感じ、考えさせられた6週間でした。
自分の将来に大きく関わる、良い経験になりました。
迷っているなら絶対に参加すべきです!!
参加期間 2025年2月3月