教育を受けられない途上国の現実
子どもの貧困の日本の基準は相対的貧困、つまり他の世帯と比べて標準所得が半分以下の家庭の子を指します。
例えば4人家族で年収が250万円以下の家庭の17歳以下の子ども。
厚労省の調べでは日本の子どもの6人に1人が貧困の基準に当てはまり、相対的に母子家庭の子どもに貧困が多いとのこと。
貧困のデメリットは人とのつながりが少なくなる、社会活動への参加の機会が失われる、将来の可能性が奪われるなどが挙げられています。
子どもの20人にひとりが絶対的貧困
途上国フィリピンでは貧困層が多く、子どもの貧困のはっきりとした定義はありませんが、国際的な定義とされている貧困層の基準ではフィリピン国民の1/4が貧困に当てはまるほどの絶対的貧困です。
絶対的貧困とは今日食べるものがない、寝るところがない切迫した状況の子どもや家族のこと。
はっきりとした数字はわかりませんがフィリピンでボランティアをしているとフィリピンの子どもの20人に1人がこの絶対的貧困に当てはまると感じます。
フィリピンの貧困の子どもは日本と比較してとても多く、貧困のレベルも困窮です。
経済力が低い家庭の子
親の経済力が低い家庭の子どもに貧困が多いのはフィリピンも日本も同じ。
ひとつ違うことは日本では共働きをしている家庭の子どもは貧困率が低いそうですが、フィリピンでは母親が働いている家庭ほど子どもの貧困が多い状況です。
親の収入が低いほど子どもは貧困になりますが、フィリピンの場合は日本と異なりいくら貧困でも人とのつながりに影響はありません。
また、貧困の子どもは食べことにも困っていますが、栄養は摂れなくても餓死をするようなこともない。
フィリピン社会は横のつながりが強く助け合いの精神も強いため貧困同士でもモノや食べ物、お金の貸し借りが日常的に行われているから。
両親ではなくても近所の人たちが子どもの面倒を見ます。
絶対的貧困率の高いフィリピンでも子どもは生きて行くことはできます。
問題は教育を受けることができないこと。
学校に行けない
貧困家庭では収入が限られます。
お金を使う優先順位は食べ物、着るもの、そして住まい。
衣食住です。
子どもにとって栄養を摂ることの次に大切な教育までお金が回らず、貧困家庭の子どもは学校に通っていないケースが目立ちます。
フィリピンでは幼稚園の1年、小学校6年、そして高校6年が義務教育となっています。
しかし、学費や制服、文房具代などが掛かる教育にはお金が回らず、貧困家庭では義務教育すら受けていない子どもが多数います。
教育は今日のごはん代にはなりません。
でも教育は将来貧困から脱出する可能性をもたらします。
フィリピンの子どもの貧困の一番の問題は子どもが教育を受けられないこと。
親が子どもに教えられない
子どものころ、両親から社会の道徳や躾を教わりませんでしたか。
約束は守る
他人に不快な思いはさせない
挨拶をする
これらは学校教育ではなく親から教わる社会の道徳。
貧困家庭の親は自身も貧困で育ち教育を受けていないので、わが子に勉強も社会のルールも道徳も教えることができません。
フィリピンの貧困層は感情の起伏が激しく自己コントロールをできない人が多いのですが、親を見て子は育つと言うように、知識に乏しく情緒不安定な性格の子が育ってしまいます。
学校教育を受けていなければ友達や活動範囲も限られ、社会のことをわからないまま大人になってしまいます。
稼ぐことだけに興味を持つ
教育を受けていない貧困の子どもは将来の夢や希望を抱くことができず、今日の食事代や着るものを買うお金を稼ぐことだけに意識が行ってしまいます。
親の仕事を手伝うのでしたらまだ良いのですが、物乞いやスリなどの犯罪行為に走ってしまう子も。
社会のルールを誰からも教育されてなく学校にも通っていない。
お腹を空かせた子どもは、生きていくためにお金を稼ぐことしか浮かびません。
貧困の親は子どもに稼ぐことを要求します。
貧困の子どもに大切な教育
フィリピンでは多数の貧困の子がいますが、勉強したいと思っている子どももたくさんいます。
友達が学校教育を受けていて自分にできない英語を話している。
算数の計算ができる。
毎日楽しそうに学校に通っている。
コンプレックスを持っている貧困の子も多いのですが、親が無職だったり片親のため教育にお金を掛けることができず、教育を受けていない子は指をくわえて学校で教育を受けている同年代の子を見ています。
教育は子どもにとって栄養を摂るのと同等に大切なこと。
貧困の親でもそのことはわかっているのですが経済的な余裕がありません。
勉強できる環境を提供
奨学金で教育を受けさせる方法があります。
でも学校に通っていなかった子どもに急に明日から学校に行くよう言っても長続きしない。
1日8時間も教育を受けた経験がないから。
勉強はしたいけれどそれは友達と同じことをしたいという理由からで、なぜ勉強をしなければならないのかは理解していません。
グローリアセブでは学校で教育を受けていない子どもたちのためにフリースクールを開校しています。
フリースクールには誰でも自由に参加でき、勉強が嫌になったら途中で帰っても構わない自由な環境。
貧困の子どもに教育が大切な理由を伝えながらアルファベットの読み書きから教えています。
フリースクールに通っている子は6歳~9歳。
本当なら幼稚園と小学校に通わなければならない年齢ですが、母親がいないため子どもの面倒が見れない家庭の姉妹、両親ともいない男の子など、毎週自らの意思で教育を受けにやってきます。
学校には通っていませんのでABCの読み書きもおぼつきませんが、それでも2時間の授業中、一生懸命に勉強しています。
貧困から脱し将来に希望を持つためには教育を受け知識を身に着けることがもっとも大切であることを、グローリアセブでは子どもたちに教えています。
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