フィリピン セブ ソーシャルボランティア体験談
心優 慶應義塾大学 1年
はじめに、このグローリアセブという団体の活動に参加しようと決めた時は、正直不安な気持ちが多くあり、スラムの人たちは自分を受け入れてくれるのか、子供とのかかわりあいがあまり得意ではない自分が子供達と仲良くなれるのかという不安がありました。
しかし、この一週間すごしたことで、自分が勝手に思い込んでいた貧困の人たちの生活、思いなどが大きく変わりました。
まず始めに訪れた場所で、車が来たとたんに子供達が駆け寄ってきた光景を見て、今までに感じたことのない感情で、今までグローリアセブがやってきた活動を、子供達がとても楽しみにしてくれていることがわかりました。
私は家庭訪問をする中で、セブに暮らす人々の思いがよくわかりました。
まず一番印象的だったのは「1から100%の幸福度で今を表すと?」という質問をお母さんにしたときに、「90%幸福で、残りの10%は夫が死んだから」という回答をしたことです。
もちろん彼女の家は私たち日本人からすれば十分ではなく、浸水の被害も多く受ける場所であるのに、90%という答えに驚きました。
私は、彼女たちの考える幸福のベクトルはお金ではなく、家族や友達などそのような関係があることが彼らにとって大切なことだということに気づかされました。
また、「自分の子供に将来どのようになってほしい」と聞くと必ずみんな「finish the school」といっていて、日本では当たり前のことが、この場所では親たちが願っていることと考えると、私自身も勉強に対する意識がとても変わりました。
フィリピンの学校制度についても学んで、日本よりも厳しいことに驚きましたが、それでもみんなが学校へいくことを希望していて、みんなが楽しそうに学校生活を送っている姿を見て、学校に行きたくないと感じていた自分が恥ずかしく思いました。
子供達と関わる中でも、子供達に支援をするということより、自分の方がたくさんのことを学びました。
フィリピンの子供達はとても人懐こくて、日本人だとわかったらすぐに「ありがとう」「かわいい」などと声をかけてくれたのがとても印象的でした。
遊ぶものや場所が限られた中でも自分たちで工夫して遊んでいることを教えてくれ、発想力や、目の前のことを全力で楽しむこと、年下の子の面倒をみることが当たり前のようにできていてすごいなと思いました。
しかし、そのような姿は生活のほんの一部であって、スカベンジャーの子供達は、普段はあのゴミ山に毎日いて仕事を当たり前の様にこなしているという現状にも改めて気づかされました。
ゴミ山の近くに住んだり、海の上にスラム街があって、そこに住んだりしている人たちは私の当初の考えではお金や住む場所がないからと考えていましたが、実際はそこに仕事があるからということも学びました。
生活環境は悪いけれど、確かにそこには仕事があってそれで家族が生きていけるということを考えると単純に焼却炉を作ればいいとか、スラムをなくすとか考えるのも違うと感じて、やっぱり現地の人と向き合わなければ分からないことはたくさんあるなと強く感じました
2022年9月
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