新型コロナウイルス感染拡大防止策として、フィリピンの学校は2020年4月から9月まですべて閉鎖され、10月からはじまった授業も対面ではなく自宅学習の形式で行われています。
 
この記事では、どのような形式で生徒は学習を行っているのか、そして自宅学習の問題点と先生の苦労について解説していきます。
 
尚、新しい情報は随時、追記として更新しています。

 
(追記:2021年5月29日)
本来のスケジュールでは、三学期は5月15日に終了し、17日からは四学期にるハズだったのですが、自宅学習になったことで、子どもの学習スピードが大幅に遅れ、生徒の7割が三学期のカリキュラムをまだ終えていない状況です。
 
よって、四学期になった現在も、先生たちは三学期分のテキストの配布や試験の採点に追われています。
 
今期は7月10日に終了する予定ですが、現在の授業の進行を考えると、大幅に遅れることも予想されます。
 
 
(追記:2020年10月19日)
オンライン授業がスタートして2週間が経過し、新たな問題が見えてきましたので追記します。
 
授業で利用しているツールは、Google Classroomと、Google Meetがメインです。
 
ZOOMのように一方的に観て聞く授業ではなく、学校から生徒へ課題が毎回出され、それを期限までに提出することで、次のステップへ進んでいく方式が取られています。
 
 
しかし、幼い子はツールを使いこなすことができず、家族の誰かが子どもの学習に付きっ切りにならなければ勉強についていけません。
 
そのため、母親が仕事ができなくなってしまったり、誰もついてあげられない家庭では、家庭教師を雇わなければならない状況に陥っています。
 
 
フィリピンでは幼稚園から義務教育ですので、オンライン授業は5歳の幼稚園児も受けています。
 
 
フィリピン教育省 DepEDは、保護者が子どもの学習をサポートすることの重要性を書いた「基礎教育におけるニューノーマルのための親のハンドブック」を発行しました。
 
(ハンドブック)
 
このハンドブックには、家庭で学ぶことの利点やオンラインレッスンのヒント。そして親が行うべきサポートについて書かれています。
 
 
 
日本でもコロナ禍のため、2020年3月下旬に学校が休校となったとき、「共働きの家庭では、子どもの面度がみれない」という批判的な意見も一部に出ました。
 
フィリピンでは、オンライン授業への批判までは起きていないものの、オンラインになったことで、家族へ経済的、時間的な負担がのしかかっているのは事実。
 
フィリピン政府は、コロナのワクチンが開発されるまで、対面式の授業は行わないことを示唆しています。
 

フィリピンの学校の日程

フィリピンの小学校は、通常、6月が始業式で、翌年の3月が終業式、または卒業式です。
 
しかし、2020年はコロナ禍のため、開校が大幅に遅れ、10月からはじまり終業式は来年6月になる予定です。
 
それも、今年は生徒は学校に登校しません。
勉強は、配布された自宅学習用のプリントで行うか、パソコンとWiFi環境の整っている家の子はオンラインでの授業となります。
 
プリント学習のことをモジュール授業と言い、週に一回、保護者が学校へ出向き、宿題などが書かれたプリントを受け取る。
生徒は自宅で宿題をこなし、翌週、学校へ提出。
この繰り返しです。
 
 
オンライン学習かプリント学習にするかは、生徒の保護者が選択できるのですが、小学校の先生の話では、在校生の80%以上が、プリント学習を選択したとのこと。
 
オンラインの場合、自宅でつかえるパソコンやタブレット、そしてWiFi環境も必要になり、大多数の家では現実的ではありません。
 

プリント学習の問題点

プリント学習の問題点は、生徒へ配るプリントを、学校が毎週用意しなければならないこと。
 
教育省の話によると、フィリピンの全公立学校、25,602校で、7億4千万枚ものプリントを準備しなければなりません。
 
これには、人的な労力と膨大なコストが発生します。
 
 
日本では、学校で使用する教材や備品は、ほぼすべて国が負担しますが、国家予算の乏しいフィリピンでは、先生が負担しなければならない場合も珍しくありません。
 
実際、グローリアセブが支援している公立小学校では、インクジェットプリンターしか持っていなく、大量の印刷には対応できませんでした。
 
学校では新学期を前に、寄付をしてもらえる支援者を募り、やっと高速プリンターを入手したような状況です。
 
 
また、プリント学習を選択せざる負えなかった生徒と、オンライン学習を受けることのできる生徒との、教育格差も問題視されています。
 

教育の格差

オンライン授業にも問題はあります。
 
はじめての試みとなるオンライン授業に備え、教師は、研修や模擬訓練を受けてきました。
先生たちは、生徒のために一生懸命、準備をしているのですが、なにせ、はじめてのことなので、授業再開後も試行錯誤になると思われます。
 
また、ネット環境が東南アジアでいちばん悪いと言われているフィリピンですので、授業中に通信が途切れてしまうなどのトラブルは、容易に想像ができます。
 
新学期がスタートできると言っても、このように不透明な部分は多いのです。
 
 
それでも、教育は継続しなければなりません。
 
不確定な要素が多くても、まずはスタートし、問題が起きたら改善していく。
これがフィリピンのスタイルです。
 
教育長官は、「私たちが直面している課題が何であれ、10月5日は教育の継続の宣言になるでしょう」と述べました。
 
 
フィリピンでは、コロナ規制によって、3月下旬から子どもの外出は禁止されています。
学校に行くことも、外で遊ぶこともできない子どもたちは、コロナの被害者。
 
たとえ遠隔授業でも、多少の問題が生じたとしても、まずは授業の再開が最優先なのです。
 
 

 
 
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