フィリピンの貧困

国民の2割が貧困の現実

1億人の国民が暮らすフィリピン。
その2割が貧困と言われ毎日の生活に困窮しています。

統計では国民一人当たり最低限必要なお金は食糧費だけで最低限一か月約5,000円。
これに居住費や衣料などがかさみます。
しかし、貧困層の生活費は3,000円程度。
最低限の生活もできない国民がたくさんいます。

地域で広がる賃金の格差

フィリピン政府は一日当たりの最低賃金を約1,000円と定めていますが首都圏と地方では賃金格差があり、首都のマニラでは約1,200円。
フィリピン第二の都市と言われるセブでは約700円。
地域によってこんなにも違います。

国民の10%が集中しているマニラでは経済やインフラが発展し、街の中心部は東京と変わらないほど。
フィリピンは国全体としては目覚ましい発展を続け貧困率も下がっていますがそれは首都圏の経済がけん引しているから。
マニラとそれ以外の地域では格差は広がるばかりです。

取り残される貧困層

貧困層の子どもの教育を支援しているグローリアセブの奨学生のお母さんの話を紹介します。
いまのフィリピン政府に望むことを聞きました。
「そんなことはわからないけど、自分の子供たちが学校を卒業できればそれでいい」

毎日の生活に困窮している貧困層が国の将来や経済に関心を持てるわけがありません。
母親は住み込みの家政婦の仕事をし月15,000円ほどの収入がありますが、それで7人の子どもを食べさせています。
 

食糧費だけでひとり5,000円が最低限の生活水準と言われているフィリピンでこの家庭がどんなに困窮生活を送っているかがわかります。

貧困層が懸念していること。
それは低賃金と一部の地域だけの経済発展がもたらす物価の上昇です。

 

セブのスラム

食糧の値上がりに苦しむ貧困

インフレは経済発展の象徴ですが、収入もそれに伴い上昇しなければ国民の生活は窮地に追いやられます。

フィリピンのインフレ率は2017年で4.3%。
同年の日本が0.47%なのでどれほど高いかわかります。
国内の不動産バブルや、一部の裕福層、海外で収入を得たフィリピン人の消費で物価が上昇しているものと考えられられます。

国民が懸念していることを階層別に見ると、富裕層および中産階級はインフレと犯罪。
下層クラスは労働者の賃金とインフレ。

 

双方に挙がっているインフレですが、お金持ちと貧困層では切迫度が違います。
低賃金で働く下層クラスにとってこの上、物価が上昇したら生活が立ち行かなくなります。

お金は一部の裕福層に集まり、貧困層の収入は一向に上がらない。

インフレは物価高を引き起こします。
国民の主食であるお米はここ1年で3割も値上がりしました。
去年まで1kg 100円だったお米が130円に。

インフレ率と同様に収入も増えれば問題ないですが、日雇いや物売りで生計を立てている貧困家庭にそれは望めません。
物価高騰のため食事の量が減るか質が下がる。

経済成長は家計支出に占める食費が50%を越える貧困層を直撃します。

貧困撲滅の取り組み

フィリピン政府は2022年に貧困率を14%まで下げる目標を掲げています。
5年間で8%も貧困の人を減らす。
でも貧困層は政府には期待していません。

すべての途上国が抱える貧困問題がなぜ改善しないのか。
それは政府と政治家の問題。
裕福層にメリットを与えれば政治家はお金も票も集まる。
貧困撲滅は短期間ではできないので自分の成果にならない。
極論を言えば答えはこのふたつ。

フィリピンの場合も貧困撲滅のための国の予算はありますが実際貧困層までお金は回ってきません。
生活環境の整備や住居を確保する事業が始まっても予算が続かずすぐにストップ。

政府に代わりNGOや教会、企業の有志で食事配給やインフラ整備などの支援活動が行われています。

将来的に貧困を削減するためには数十年のスパンで計画を立て実行していく国の覚悟が必要ですが、現状では、国内外の民間ボランティア団体の援助が不可欠。
 

国際協力団体 グローリアセブも貧困削減のための支援活動を行っています。

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