フィリピンで活動している国際協力団体 グローリアセブは、セブ島のゴミ山で、ゴミ拾いをして生活するスカベンジャーへ、物資や食糧を届けるボランティアを行っています。
しかし、ボランティア活動はいつも上手くいくとは限らず、ときには失敗して混乱を招いてしまうこともあります。
この記事では、台風の被害に見舞われたゴミ山で行った緊急支援の失敗例と、そこから学んだボランティアをする上での大切なことを説明しますので、海外ボランティアに興味のある方や、将来、国際協力の仕事に就きたいと考えている大学生は、参考にしてください。
フィリピンセブ島 春休み・夏休みボランティア募集
ゴミ山でのボランティア活動
グローリアセブは、セブのゴミ山を毎週訪問し、スカベンジャーの子どもたちへ食事や衣服、文房具などを提供するボランティアを行っています。
海外での国際協力には、貧しい人たちの生活の向上を目的とした開発援助と、突発的な災害に見舞われた人たちを支援する人道援助の二種類あります。
グローリアセブが、通常行っている国際協力は開発援助ですが、2021年12月に、セブに上陸した大型台風によって、ゴミ山の人たちは甚大な被害を受けてしまいました。
セブ日本人会からの協力要請を受け、急きょ、スカベンジャーへの人道支援を行うことになったのですが、緊急の支援だったため事前準備や段取りが疎かになり、その結果、ゴミ山で混乱を招く失敗を犯してしまいました。
ゴミ山での緊急支援
ゴミ山には電気が通っていません。
スカベンジャーは太陽が昇っている昼間は、ゴミ拾いができますが、日没から翌朝までは真っ暗。
仕事だけではなく、生活にも支障をきたしています。
そこで、日中、太陽光で充電することで、夜は電気いらずにつかえるソーラーライトを、200世帯のスカベンジャーに配布することを決定しました。
しかし、ゴミ山は電波が届かない山間部のため、物資を持参して訪問することを事前に知らせることはできませんでした。
また、通常なら、混乱が起きないように事前に受け取る人のリストを作成しておくのですが、それもできないままゴミ山を訪問。
当日、ソーラーライトを配布することを伝えると、予定していた数の5倍もの人たちが集まってきましまい、ソーラーライトが少なくなってくると奪い合いが起きたり、貰えなかった人たちからは不平不満がもれるなど、パニックが起きてしまいました。
私たちは、ボランティアをする上での大切なことを疎かにしていたんです。
ボランティアが失敗した理由
物資や食糧を配給するときは、事前に受け取る人のリストを作成しておくことが大切です。
それはゴミ山に限らず、スラム街など、どの場所でも同じ。
早い者勝ちで配給すると混乱を招き、受け取れなかった人たちから不満を抱く結果となります。
日頃からゴミ山でのボランティア活動を行い、スカベンジャーとも顔見知りだったので、事前に連絡をしておかなくても、なんとかなるかと、少し安直な気持ちがあったのですが、私たちとは初対面のスカベンジャーが大勢、集まって来てしまい大混乱。
いつも、グローリアセブの活動に協力してくれているゴミ山のリーダーも、暴れるスカベンジャーと口喧嘩をはじめる始末になりました。
支援活動が失敗した理由は、事前に連絡をせずに、ボランティア活動をはじめてしまったこと。
そして、配布方法のルールを周知徹底できなかったためです。
海外ボランティアで大切なこと
海外でボランティアを行う上で、大切なことを3つ挙げます。
1.公平公正な行動
食事や物資を配給するボランティアでは、偏りなく平等に提供することが原則です。
対象者の選定や、配給する量は、第三者から見ても納得できるものでなければいけません。
そのためには、支援方法のルールを決めておき、事前に対象者に伝えておくことが大切です。
2.感情に流されない
特定の人に、極度な感情移入をしてはいけません。
貧困で苦しむ人たちに接すると、「かわいそう」「なんとかしてあげたい」という感情が沸くのは当然かもしれませんが、その感情に流されると公正さが保てなくなり、他の人たちから妬まれる結果を招きます。
決められたルール通りに、淡々と実行することが大切です。
3.相互理解
ボランティアを行う上で大切なことは、相手の理解を得て、認識を共有することです。
相手がどんな人で、どのような意図をもって支援をしているのかがわからなければ、いくら良かれと思って行動したことでも、受け入れられません。
そのためには、支援活動を実行する前に、現地の人たちと会って、コミュニケーションを図っておくことが大切です。
日本とは文化も考え方も異なる海外でボランティア活動を行う場合、大切なことは、公正公平な行動と相互理解です。
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