彩月 社会人

大学でのゼミ研究をきっかけに、過酷な環境の中で「子どもたちの笑顔の源は何か」、「スラム街で生きる彼らの生きがい/幸せは何だろう」

そんな疑問を持ちながらグローリアセブのボランティアに参加しました。

今まで見たことのない光景、経験のない匂い、音、人々の行動など衝撃を受けることばかりの1週間

でした。

中でも、子どもたちの素直な表情や行動が一番印象的でした。

私を見た瞬間に笑顔で走って抱きついてくれたり、自分から話しかけてくれるようなフレンドリーな子もいれば、自分から近づくことはなくアクティビティでの工作中に作り方がわからずに無言でトントンッと叩いてくるシャイな子も、少し遠くの方から睨んでいるような、警戒心があるような表情を見せる子もいました。

その全てが嘘偽りない正直で真っ直ぐな眼差しでした。

アクティビティを通して実際に見た、子どもたちの元気いっぱいに走り回る姿や、無邪気な笑顔は、日本で見る子どもの姿と何一つ変わらない一方で、配給の時間になり、少し険しい表情に変えて小さな手で勢いよく一生懸命にご飯を口に掻き込む姿は、彼らの必死に生きる本来の姿を見ているようでした。

仲良くなった子どもたちにいつ・何が幸せなのかを聞くと、「今が一番楽しい」「今日!友達に会えて幸せ/嬉しいから」と話し、明日何するかを聞いても、「わからない」と答えていたため、過去や未来ではなく”今”を一生懸命に生きているんだと感じました。

もしかしたら、安定した収入がなく衣食住の確約がない彼らは、今を生きることで精一杯なのかもしれないと考えると、なんて不平等な世界なんだろうと心が痛みました。

しかし、家庭訪問や子どもたちとの交流を通して、彼らは自分たちが不幸と思ってないことを知り驚きました。

もちろん、中には小声で「money」と言いながら手を出して、私が持っているものを羨むような子どもや、早くスラムから出たいという子どももいますが、ここ(スラムでの生活)がいいという子どももいるということに最初は衝撃を隠せませんでした。

子どもながらにご飯を分け合ったり、「この子にも渡して!」と自分のことだけでなく友達や家族のことを思いやる姿、助け合って生きる姿を見て、(日本やフィリピンの街中では経験のないほどの)彼らのこころの暖かさが彼ら自身の幸せをつくっているのだと感じました。

様々な技術が発達した日本では当たり前となり見失っている日々の幸せに、彼らは気づき、スラムという自分たちが置かれた場所でしっかりと生きがいを見出して花咲かせようとする姿は、私が持っている生きる力とは比べ物にならないほど強いものでした。

考え方一つで、スラム街など客観的に見ると大変で苦しいことばかりを想像する場所での暮らしも、幸せを感じながら日々を過ごすことができるということを実際に自分の五感で感じ、学ぶことができました。

彼らに教えてもらった幸せの価値観や基準、幸せの見つけ方をもとに、今後自分がどのように生きていくのか、社会人として何ができるのかを考えていきたいと思います。

2023年9月

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