制服が買えず学校に行けない
学校の制服はフィリピンの文化や仲間意識を高めるだけではなく、非行防止や安全の面でも効果があります。
学校に行かずにネットカフェや飲食店で遊んでいても、制服姿であればどこの学校の生徒かすぐにわかり学校や親に通報されます。
万が一交通事故や犯罪に巻き込まれた場合でも同じことが言えます。
一方で制服が買えないため就学や進学を断念する貧困層の子どももとても多いんです。
フィリピンの無償教育とその現実
フィリピンは幼稚園から英語教育が行われるほど教育への意識や文化が高い国です。
小学校への就学率が95%、高校も65%と日本と大差はありません。大学も2,000校以上。
義務教育の公立学校は授業料は無償ですが、特別授業を受講するためのプロジェクト費、新学期に学校の先生から揃えるよう言われる文具や教材などの購入費、そして制服、靴、カバンの購入費は生徒の親が支払わなければなりません。
授業料が無料の教育制度下でも、貧困層にとってこれらの費用を支払うことは重荷になり親から制服や靴を買い与えられずTシャツとサンダルで登校する生徒もいます。
担任の先生は生徒の家庭事情を知っているので何も言いませんが、生徒自身が恥ずかしくて登校しなくなってしまうケースもたくさん。
貧困と教育
グローリアセブでは路上でモノ売りをしているストリートチルドレンに奨学金を支給し、学校で義務教育を受けるための制服や文具代に充てています。
子ともたちの母親の仕事は路上でのモノ売り、父親は日雇いでポーターなどの仕事をしていますが定期的な収入はなく、稼ぎがあるときでも1日600円~1,000円。
この収入から家賃や食費を支払うわけですから子どもの教育に回せるお金はごくわずか。
制服と靴だけでも3,000円は掛かります。
その他文具代、昼食代、学校までの交通費などを考えると貧困層の家の子どもが学校へ通うのはとても高いハードルなのです。
フィリピン国民の25%を占める貧困層は、子どもを学校に行かせたくても制服を買い与えることがでません。
学校制服はフィリピンの文化のひとつで生徒の安全面でも効果がありますが、制服を買えないから義務教育すら受けられない子がいることもまた事実。
いまフィリピンでは、制服を廃止する声が高まっています。
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