最近、テレビなどで話題になっているSDGs。
このSDGsがどういったものなのか、皆さんご存じでしょうか。

SDGsとは、簡単に言うと「世界の色々な問題を解決するために設定された目標」です。

今回は、SDGsとボランティアの違いや関連性、SDGs達成のためにできることなどを、ボランティア活動を中心にまとめました。

SDGsに関心がある方や、「SDGs達成のため、自分に何かできることはないか」と考えている方に読んでいただければと思います。

 

1.SDGsとは?

「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。

SDGsは、国連加盟193ヶ国が2030年までに達成する行動計画として採択したものです。2030年に向けた17の目標と、その目標を達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。

⇒(参照)国際連合広報センター 2030アジェンダ

⇒(参照)外務省 SDGsとは?

 

2.SDGsとボランティアとの関連性

この記事では、SDGsの視点からボランティアについて書いていきますが、まずはSDGsとボランティアの関連性について整理しておきましょう

2-1.SDGsとボランティアの違い

SDGsとボランティアの違いは大きく分けて2つあります。

・SDGsは「目標」で、ボランティアは「行動」である
・SDGsは企業活動も含まれたものである

SDGsは、前述したとおり「2030年に向けた17の目標」です。
もう少し詳しく言うと、「貧困撲滅」や「教育の普及」、「経済成長」、「環境保全」など、地球上の様々な問題を解決した上で、2030年までに目指す世界の姿です。

一方、ボランティアは、一般的に「個人の自由意思で社会に貢献すること」とされています。

つまり、SDGsという大きな「目標」を達成するために有効な「行動」の1つがボランティアということになります。

SDGsには、経済成長や技術革新などの目標もあるため、これらを達成するためには企業活動も重要です。(ここには利益を追求する活動も含まれます)

SDGsの達成にはボランティアや企業活動など、様々な「行動」が必要ということですね。

2-2.SDGsと社会貢献活動の関わり

SDGsと社会貢献活動(ボランティア)がどう関わっているのか、少し深掘りしていきましょう。

SDGsでは、2030年までに目指す世界の姿を実現するための目標が設定されています。

人によっては、
「そんなに大きな話、自分には関係ない」
「自分が何かしたところで大して貢献できないのでは」

そう考えるかもしれません。

確かに、SDGsは大規模かつ壮大な目標です。
一見、個人レベルの行動では大した影響は無いように見えるかもしれません。

事実、個人レベルでは、世の中を大きく動かすような行動を起こすのは不可能ではありませんが難しいことです。

しかし、SDGs達成のためには、個人レベルの行動もとても重要なんです。

SDGsは17の目標(と169のターゲット)で構成されていますが、目標ひとつひとつは個別の課題として独立しているわけではありません。
環境、貧困、平和、経済などひとつひとつがつながりを持っています。

世界はつながっています。
そのつながりには、行政も、企業も、個人も含まれています。
それはつまり「誰もがSDGs達成のための行動を起こすことができる」ということです。

そして、その行動の中には、行政や企業のような組織だからこそできることもあれば、個人だからこそできることもあります。

例えば、皆さんの住む地域がゴミで汚れていたとしたら、ゴミを拾って集めるのは、その地域に住む一人ひとり(個人)の役割でもあるでしょう。
(集めたゴミを処分するのが行政や企業の役割)

ゴミを拾えば拾った分、ゴミで川が汚れたり、動植物の健康を脅かすリスクを減らすことにつながります。

このように、個人の行動を起点として、地球や世界に影響を与えることができるのです。

話をボランティアに戻しましょう。

ボランティアは個人の自由意思による社会貢献です。
ボランティアと一口に言っても色々な活動がありますが、その多くは、個人の意思によって、あるいは、個人の意思が集まって動いているものです。

そして、そういった活動が、誰かを救ったり社会のためになったりした例は世界中にたくさんあるのではないでしょうか。

個人の意思で行動を起こし、世界に影響を与えること(例えば、SDGsの達成の一助となること)は難しいことではないんです。

「誰かの役に立ちたい」「社会に貢献したい」という思いはあるけれど、解決するべき問題の大きさを目の前にして二の足を踏んでいる方、あなたの思いはきっと何かの力になります。

まずは行動を起こしてみてはいかがでしょうか?

次の項で、SDGs達成のためにできることを、ボランティア活動を中心に紹介していきます。

3.SDGsを達成するためにできること

ここでは、SDGsを達成するために、個人でできることを紹介します。

それぞれがSDGsのどの目標に大きく関わってくるかもあわせて紹介するので、ご自身の興味・関心と照らし合わせて、今後の活動の参考にしてください。

3-1.ボランティア活動

ボランティアの種類は実に多様です。

また、日本では、ボランティア活動に関心がある人は多いものの、実際にボランティア活動に参加する人の割合は、諸外国と比べて低いそうです。

⇒(参照)文部科学省 青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について

 

3-1-1.清掃活動

[関係するSDGsの目標]

6.安全な水とトイレを世界中に
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう

清掃活動は、数あるボランティア活動の中でも最も身近なものかもしれません。
多くの方が一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

外を歩いていると、道端や公園などでポイ捨てされたゴミを見かけることがあると思います。
これらのゴミは放置されたままだと、いずれ川に出て、海へ流れていきます。プラスチックゴミをはじめとする海洋ゴミは生態系に悪影響を与えます。

この悪影響による弊害は、巡り巡ってやがて私たち人間にも降りかかってくると言われています。

清掃活動は、地域の町内会やNPOが定期的に開催していることが多いです。

また、最近は、ジョギングとゴミ拾いを組み合わせた「プロギング」という取り組みが盛んで、楽しみながらゴミ拾いをしようと意識も高まっています。

⇒(参照)プロギングジャパン

イベントに参加しなくても、散歩のついでや、会社・学校帰りなどにゴミを拾うこともできますよね。

ゴミを拾えば拾った分だけ、地球全体の環境への悪影響を減らすことができます。
まさに「個人」が起点となって世界に影響を与えられる活動ですね。

特別な知識や技術が必要ない、とっつきやすい活動ではないでしょうか。

3-1-2.子どもへの学習支援活動

[関係するSDGsの目標]

1.貧困をなくそう
6.質の高い教育をみんなに
10.人や国の不平等をなくそう

日本国内の色々な地域で、自治体や地域の社会福祉協議会、NPOなどが主体となって、子どもへの学習支援が行われています。
主に、経済的に困窮している家庭や片親の家庭の子どもが対象です。

日本は先進国ですが、そんな日本にも貧困問題は存在しています。
厚生労働省の2019年国民生活基礎調査の概況によると、日本の子どもの7人に1人が貧困状態にあると言われています(子どもの貧困)。

⇒(参照)厚生労働省 国民生活基礎調査

⇒(参照)日本財団 子どもの貧困対策

貧困状態にある子どもは進学率が低い傾向にあります。

経済的な事情の他、勉強に集中できる状況が整っていない(例:ネグレクト、子どもが家事の大部分を負担している、貧困が原因でいじめられて不登校になっている など)ため勉強に集中できず、学力が低くなりやすいことも理由として挙げられます。

結果的に、満足な進学・就職ができず、貧困家庭で育った子が大人になってからも貧困状態に陥ってしまいやすくなります。

この「貧困の連鎖」が、日本を含めた世界中で問題になっています

学習支援活動は、そんな子どもたちために、学びの場や人と触れ合う居場所を提供するものです。
子どもたちの学力を上げて将来の可能性を拡げ、「貧困の連鎖」を断ち切ることにつながっていきます。

この活動は、当事者である子どもたちのためになるだけではありません。
貧困状態の家庭は、行政からの支援(生活保護など)を受けているケースが多いです。

そういった家庭で育った子どもが大人になって、十分な収入を得られる仕事について、貧困状態を脱し、生活保護を受ける必要がなくなったとしたら、生活保護分の財政負担が減り、その人が働いた分の税収入が見込めるようになるわけです。

長い目で見ると、将来の財政の改善につながるかもしれないんです。
これって凄いことだと思いませんか?

3-1-3.子ども食堂

[関係するSDGsの目標]

1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに

子ども食堂は、子どもが無料で(又は安く)ご飯を食べられる場所を提供する活動です。

経済的な事情で十分に食べられていない子どもへの食事提供や、孤食の解消、地域の憩いの場など、目的は様々です。
運営主体は、行政や社会福祉法人、NPOなど様々で、中には学習支援と合わせて運営しているケースもあります。

子ども食堂に携わる場合、活動そのものに関わるだけでなく、食材を提供するという関わり方もあります。

子ども食堂で使われる食材は、関係者の持ち寄りや地域の人・農家・企業などからの寄付で成り立っていることがほとんどです。

子ども食堂は、日本全国に約5,000ヶ所あると言われています。
「NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ」で全国の子ども食堂を探すことができますし、地域単位でデータベース化しているところもあるので、興味のある方は、お住まいの地域で調べてみてはいかがでしょうか。

⇒(参照)NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ

 

3-1-4.フードバンク

[関係するSDGsの目標]

1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
12.作る責任 使う責任

フードバンクとは、企業・個人から食品を譲り受け、生活困窮世帯や福祉団体などへ提供する活動です。
アメリカ発祥で、世界中に広がっていきました。

福祉の意味合いが強い活動ですが、食品ロス(まだ食べられるのに捨てられてしまう食品)を減らすための活動としても注目されています。

世界では年間約13億トン、日本では年間約600万トンの食品ロスが発生しています。

食品ロスの原因は
・スーパーなどの小売店での売れ残り
・包装の破損や印字ミスなどで売り物にならない製品
・賞味(消費)期限切れで捨てられた
など様々です

⇒(参照)農林水産省 フードバンク

こういった食品を捨てる前にフードバンクを行っている団体へ寄付し、その食品が食べ物に困っている人の手に渡れば、福祉・環境の両面でSDGsの達成に貢献できます。

3-1-5.海外ボランティア

[関係するSDGsの目標]

1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに

ここまで、身近なところでもできるボランティアを中心に紹介しました。

ただ、SDGsは世界中で達成することを目指して設定されたものです。
解決するべき課題は日本国内だけでなく世界中にあります。

海外、とりわけ発展途上国では、日本では考えられないような課題をたくさん抱えています。

途上国が抱える課題の解決に取り組むためのボランティア活動もSDGs達成に貢献できる行動の一つでしょう。

例えば東南アジア諸国の貧困問題。日本にも貧困問題が存在することは前述しましたが、途上国の貧困はより深刻な面があります。

働かなくてはいけないため、学校へ行くことができない子どもたちがいます。
十分な教育を受けられていなかった子どもは、十分な収入を得られる仕事に就くのが難しく、貧困状態のまま大人になっていく…

ここでも「貧困の連鎖」が起こっているのです。

地域によっては、スラム化した地区やストリートチルドレンの姿も多く見られます。
日本ではなかなか目にしない光景でしょう。

そんな状況にある人たちへ、就学・就業の支援や学習支援、食事の提供などのボランティア活動を行うことも、SDGs達成のためにできることです。

現地を訪れて、現状を目の当たりにしながら、そこに生きる人々の支援を行うことは、自身にとっての学びにもなるかもしれません。

3-2.日常生活の中でできること

SDGs達成のためにできるボランティア活動を紹介しましたが、これを読んでいる皆さんの中には、様々な事情でボランティア活動へ参加が難しいという方もいるかもしれません。

では、そういった人はSDGs達成に貢献できないかというと、決してそんなことはありません。
選択肢はボランティア活動への参加だけではありません。

3-2-1.寄付

[関係するSDGsの目標]

寄付する先による

誰でも一度はしたことがあるのではないでしょうか。
自分が関心のある問題に取り組んでいる団体などへお金を寄付することは、社会貢献活動する人たちを支える立派な「社会貢献」です。

また、フードバンク団体へ食品を提供することも寄付の一つと言えるでしょう。

3-2-2.フェアトレード製品の購入

[関係するSDGsの目標]

1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
10.人や国の不平等をなくそう
12.つくる責任 使う責任
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう

近年「フェアトレード製品」と呼ばれるものをスーパーマーケットや百貨店などで見かけるようになりましたが、フェアトレード商品の購入は普段の生活の中でできるSDGsへの貢献です。

日本では色々な食品や日用品が、かなりの低価格で販売されていることがあります。
その低価格は企業努力で実現されている面もありますが、一方で、生産性向上のために、生産国(多くは発展途上国)やそこに住む人々へ大きな負担をかけている側面もあります。

児童労働や自然環境破壊、労働者の健康被害などです。

フェアトレード製品は、生産国の労働環境や自然環境、健康を保証できるよう配慮して作られたものを指します。

フェアトレード製品を作るのは企業ですが、実際に製品を購入するのは消費者(個人)です。
こういったものを継続して購入し続ければ、企業は「もっとフェアトレード製品を作ろう」となります。

フェアトレード商品のシェアが高まれば、生産国に住む人たちを取り巻く状況の改善につながっていきます。

このサイクルは、個人レベルの行動(商品の購入)もないと成立しないものです。

4.まとめ(世界はつながっている)

SDGsとボランティアの関連性や、SDGsの達成のためにできることを、ボランティア活動を中心に紹介しました。

ここで紹介したのはごく一部で、活動の種類は他にもたくさんあります。

世界はつながっています。

SDGsは17の目標が掲げられていますが、そのひとつひとつが独立しているわけではなく、どこかでつながっているのです。

そのつながりを認識して、世界中の人がアクションを起こして世界の諸問題を解決していくためにSDGsが生まれました。

つながっている世界の中では、私たち一人ひとりの行動も世界に影響を与え、SDGs達成に貢献することができます。

まずは自分の興味関心に目を向け、自分にできることを考え、行動に移すことが大切です。

フィリピン セブ島の子どもたちを支援している国際協力団体 グローリアセブでは、SDGsの活動に参加するボランティアを募集しています。

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