途上国の支援
発展途上国の貧困に興味を持ち、自分にできることを探している大学生、社会人のための記事です。
フィリピンで活動しているボランティア団体 グローリアセブが、途上国支援の準備から活動の種類、注意点まで順を追って説明します。

途上国を知る

知識を深める

できる支援を立案する

実行する

継続する
 

 

途上国を訪問して現実を知る

大学の講義やネットでいくら情報を収集しても、途上国の貧困の現実はわかりません。
そればかりか、間違った先入観を持つ可能性も。

発展途上国の支援に興味を持ったら、まず現地へ出かけて自分の目で見てみること。

発展途上国で実際に感じたことをベースに自分に何ができるかを考える。

でも、最初から個人旅行で途上国へ行き、貧困地区を見て回るのは現実的ではない。
はじめはプログラム化されている海外ボランティアかスタディーツアーに参加。

ボランティアとスタディーツアーの違いは、
支援活動に多くの時間を費やしているのがボランティア。
現地を見てまわるのがスタディーツアー。

どちらでもオッケーですが、初めての場合は1~2週間の短期にしておきましょう。

最初の目的は支援ではなく、途上国の実情を大掴みに把握すること。
現地調査を怠り自分のやりたい支援に走っても良い結果は得られません。

海外ボランティアプログラムや途上国のスタディーツアー情報は各大学の学生課でも得られます。

短期海外ボランティア

支援のための情報収集の仕方

現地の様子を見て、自分ができることの大枠を決めた次のステップは、そのテーマについて徹底的に学ぶ。
健康増進
環境改善
自然保護

途上国で必要とされていて、自分がやりたいことならなんでもかまいません。
支援のテーマを決めたら、その分野の専門家になるぐらい知識を習得してください。

知識を習得する方法は

NGOが募集するインターンスタッフやプロボノに応募
途上国の支援活動を行っているNGOでは、学生のインターンやプロボノを募集している団体も少なくありません。
仕事は広報、イベント企画、翻訳など。

広報はその団体の活動を広める活動。
途上国の状況を伝えたり、寄付を募るイベントの開催。
現地と支援者をつなぐ仕事など。

土日のみ、自宅でもできるなど、学生や社会人でも可能。

実際に発展途上国の支援を行っているNGOの業務を携われば知識は深まります。

現地報告会に参加
NPOやNGOでは定期的に報告会を開催している団体があります。

途上国の現状や支援活動について生の声を聴けますので、参加の意義は大きい。
報告会ではスタッフとも交流できるので、聞きたいことがあればなんでも質問しましょう。

現地の人と直接つながる
現地の信頼できる人と知り合いになれば、生の情報が収集できます。
自分が訪問した時は手助けもしてくれるハズ。

FBで探したりNGOスタッフに紹介してもらうことも。
ボランティアやスタディーツアーで訪問した際に友だちをつくっておくのもおすすめです。

参考になるサイト
NGO Network Japan (全国のNGOのポータルサイト)

JANIC (NGOの活動を知る、インターンに参加する)

JASSO (大学生のための海外留学支援サイト)

どんな支援が自分にできるのか

途上国を知り、プロの支援方法についても学んだ次は、自分が行う活動を決めそれを実行に移す段階です。

現地の人たちにモノづくりを教え、その商品の売り上げを還元するフェアトレード
幼稚園や保育園と提携し古着を集め現地の子どもたちに届ける
植林など自然環境の保全を目的とした活動に長期で参加する

活動はなんでも構いません。

グローリアセブのボランティア参加者の例を紹介します。
彼は大学2年時に1週間のソーシャルボランティアに参加し、その2年後、一か月間バックパッカー向けの宿泊施設に滞在し、スラム街の家屋と道路について調査しました。

スラム街の家を一軒一軒訪問し、居住空間の幅や面積、そして道幅を実測し、問題点とあるべき姿をレポート。

そのレポードは、街づくりコンクールで最優秀賞を受賞しました。

スラム街の調査

最初に短期のボランティアにしたことで自分のテーマが見つかり、その後大学で専門分野を勉強しフィリピンを再訪、2か月間の活動で成果を出しました。

支援活動はお膳立てされたプログラムではありません。
自分で宿をとり、ひとりで活動先に向かう。

少し不安もあるかもしれませんが、行動しなければ何も生まれません。
但し、安全性の確保だけは怠らないでください。

春休み夏休み海外ボランティア

支援活動を決めるうえで大切な3つのポイント

途上国支援の行動を起こす前に注意して欲しい点をあげておきます。

自分がしたいことをしない
現地のニーズが最優先であるべき。
自分がやってみたいことをするのはボランティアではありません。

なにが必要なのか、求められているのかを調査し、その中で自分のできることを探します。

継続できる支援を考える
一過性の支援は一瞬で終わってしまいます。
それは一時的な支援にはなりますが、根本的な問題解決にはなりません。

小さなことでかまわないので3年、5年と継続できる活動を考えてみてください。
はじめから大きなことをしようとしないこと。

仲間を募る
一人だと限界もあります。
同じ志を持つ仲間と話し合ったり、行動することでアイデアが生まれたり、自分のモチベーションが高まります。

大学生ならサークルを立ち上げたり、SNSで仲間を募り活動するのもおすすめです。

海外ボランティア

社会人になっても途上国支援を続ける方法

社会人になると学生の多くが海外ボランティアを忘れてしまうのが現実。
忙しく精神的にも負担のある社会人生活は学生時代の比ではありません。

でも、海外の支援をライフワークにしたいなら、仕事をしながらでも支援活動を続ける方法はあります。

週末はNPOで無給職員
海外支援を行っているNPOやNGOの中にはスタッフを募集している団体があります。

スタッフと言ってもほぼ無給ですが、仕事をしながら、帰宅後や週末だけ活動にかかわれるのでリスクは少ない。

スタッフになれば、NPOの内部事情や困難さも知れます。
これが学生時代のインターンとは違う点。

NPOの業務は日本にいてもできることがたくさんあります。
・ニュースリリースやネット媒体を活用し、団体のPRや会員の募集を行う
・情報誌を作成し、会員に向けて現地の状況を伝える
・年間のイベントやアクティビティの計画を立案する
・ホームページやメールマガジンの制作、配信
・国内イベントの手伝い

週末だけでもこれだけの仕事に携われます。

成果が認められれれば団体の理事になるチャンスも。
理事になれば予算など重要な決定権も委ねられます。

JICAでボランティア
外務省の管轄団体 JICAの海外青年協力隊では2年間の海外派遣ボランティアを募集しています。
海外での生活費や食費が支給され、給付金も支払われますので経済的な負担はありません。

また、JICAでは職員も募集しています。

支援団体を設立
自分で団体を立ち上げ長期に渡り支援を継続することもできます。

・NPO
都道府県の許認可が必要で立ち上げまで半年かかる。
一定数の理事と会員が必要
税制面での優遇処置がある

・NGO
届け出不要で誰でも立ち上げられる
収支は税務署への申告が必要

・一般社団法人
届け出たら1か月で設立可能。
数名の理事と幹事が必要。
一般社団法人は会社と同じ。非営利団体ではない。

・個人で活動する
NGIと言います。
個人でNGOと同じような活動をすること。

リスクが少ないのはNGOかNGI。
組織をつくり大きく発展させたいのならNPOか一般社団法人がおすすめ。

協力してくれる仲間がいれば、会社勤めをしながらでも大丈夫。

支援を継続するために心得ておくべき5つのこと

フェアトレード
収入源は確保しておく
支援活動はもちろん儲かる仕事ではありません。
活動費の確保もおぼつかない。

本業やアルバイトで自分が生活していける収入は確保し、支援活動を行ってください。

クラウドファンディングを利用して活動費を集めるのも選択肢です。

一喜一憂しない
途上国の人たちと日本人とでは生活も考え方も違います。
これだけの支援をしたのになんで?と期待を裏切られることはたくさん。

日本人目線で考えず、細かなことに挫折せず、目標に向かって淡々と進んでください。

目標は具体的に立てる
どんな対象の人をどうしたいのかを具体的に考えてください。

単に学校を建設するとか、環境保全のために植林するとかはNG。
誰に対して、どうなってもらえるように、何をするのか。
達成した後の運営方法は?

そのためのスケジュールと必要な予算をしっかり立てること。

協力者を確保する
何を行うにも一人ではできません。
必要なのは、考える人、つなぐ人、実行する人。

企画や計画を考える人。
国内の賛同者や現地の協力者に声をかけてつなぐ人。
そして実行する人。

自分の志に共感してくれる仲間を2名以上確保しましょう。

ムリしない
海外ボランティアは、自分の生活がある程度保障されているからできる活動です。

時間やお金をむやみに使い、自己の生活がままならなくなっては本末転倒。
自分を大切にしてください。

発展途上国の状況や支援団体の運営を学ぶだけでも大きな収穫があるはずです。
その上で、途上国支援をライフワークにしたいと考えるなら、この5つの心得は忘れないでください。

 
 
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