フィリピンの教育事情。貧富の差が生む教育の格差

フィリピンでは,2012年から新たな教育制度が導入され,今まで10年だった義務教育期間が13年に延長されました。
 
この教育改革は、子どもの教育に力を入れている国の方針の表れですが、一方で、貧富の差による教育の格差が社会問題になっています。
 
 
貧困とパンデミックの影響を受けているフィリピンの教育事情について、フィリピンの子どもたちを支援しているグローリアセブが解説します。
 
目次
1.フィリピンの教育事情
1-1.年収別の学費
1-2.学費以外に必要な教育費
2.貧富による教育の差
3.貧困世帯の教育事情
4.パンデミックによる教育事情の変化
5.フィリピンの教育事情を知るボランティア
 

1.フィリピンの教育事情

貧富の差によって格差が生まれているフィリピンの教育事情を、フィリピン統計局(Philippine Statistics Authority)が発表している2018年の調査データを基に説明します。
 
1ペソは2.17円(2021年9月27日現在)で換算してください。
 

1-1.年収別の学費

世帯年収が25万~50万ペソ未満の家庭の学費の支出は6,354ペソ。
(収入に占める割合 2.3%)
 
フィリピンの世帯平均年収は約17万ペソですので、年収が25万~50万ペソの世帯は、平均よりも1.5倍以上多い裕福な世帯です。
 
また、年収が50万ペソ以上ある世帯では、子どもの学費は23,123ペソ(4.1%)になっています。
 
 
一方、フィリピンの平均世帯年収にもっとも近い、10万~25万ペソ未満の世帯における学費の支出は2,158ペソ(1.5%)でした。
 
 
フィリピンの教育格差をお金に換算すると、平均的世帯と、やや裕福な世帯とでは3倍の差があります。
 
世帯収入が50万ペソ以上の富豪層とは10倍の格差です。
 

1-2.学費以外に必要な教育費

先に紹介した世帯年収別の教育費は、学費と入学費です。
 
しかし、実際に学校で勉強するためには、学費以外にも、文房具代や書籍代、制服代、そして宿題をするための印刷代やインターネット代などが必要です。
 
これらの費用をすべて含めたトータルの教育費は、世帯支出の24%(マニラ首都圏)を占めています。
 
また、公立学校にはスクールバスや給食がありませんので、通学費や昼食代もかかります。
 

 

2.貧富による教育の差

裕福層と貧困層の子どもでは、通う学校が違います。
 
お金持ちの子どもは、幼稚園から高校まで、教育施設が充実している私立へ通い、貧困家庭の子どもは授業料が無料の公立学校を選びます。
 
私立と公立のちがいだけでも、おおきな格差が生じるのですが、公立学校に通う生徒でも、お金があるかないかで差がでます。
 
公立学校にも、お金を払うことによって受講できる特別授業や、無償で配布される教科書とは別に、有償の補助教材があります。
 
ある程度余裕のある家の子は、それらを選択しますが、貧困層の家庭の子どもは特別授業などを受けることはできません。
 

3.貧困世帯の教育事情

グローリアセブが支援しているストリートチルドレンや、スラム街の子どもたちの教育事情について説明します。
 
就学のためにかかる月々の費用は、文房具代や雑費で月平均で400ペソ。
 
学校から指定される特別教材の購入や、イベントへの参加費が、年間で2,000ペソほど。
 
そして制服・靴・カバン代が2,000~2,500ペソです。
 
すべて合わせると年間で約9,000ペソ。
 
これは最低限の金額で、特別授業の受講費やインターネット代などは含まれていません。
 
 
一方の収入は月平均で7,000ペソ。年間で84,000ペソ。
 
教育費が収入に占める割合は約11%です。
 
しかし、1世帯に3人は子どもがいますので、世帯収入に占める教育費の割合は33%ということになります。
 

4.パンデミックによる教育事情の変化

パンデミックの影響で、フィリピンの学校は2020年3月から対面式の授業が禁止され、子どもたちは自宅で勉強をしています。
 
対面式授業でしたら、先生は公平に勉強を教えることができたのですが、自宅学習になったことで教育事情が変わってきました。
 
 
自宅学習にはオンライン授業とプリント授業の二種類があり、生徒は、そのどちらかを選べるのですが、公立学校の生徒の8割がプリント学習を選択しています。
 
オンライン学習は、勉強の進行が早く、また先生に質問をすることができるなどのメリットがありますが、受講できるのはWi-Fi環境とスマートフォンをもっている、一部の裕福な家の子ども限られてしまいます。
 
 
貧困家庭でも、スマホやインターネットは利用していますが、Wi-Hiではなくモバイル通信。
 
フィリピンのモバイル通信のスピードは17Mbpsと、日本の半分しか出ないため、モバイル通信ではオンライン授業を受けることができません。
 
 
よって、貧困層の子どもは、ほぼ全員がプリント学習。
 
保護者が毎週、課題が書かれた印刷物を学校へ受取に行き、翌週、学校へ宿題を届けます。
 
 
プリント学習は、学習効率が悪く、質問があっても先生に聞くこともできないため、オンラインで勉強している生徒とはおおきな差が生まれます。
 
この教育格差に、勉強への興味を失ってしまう子どももたくさんいます。
 

 

5.フィリピンの教育事情を知るボランティア

裕福な家庭に生まれた子どもは、十分な教育機会があたえられ、貧困層の子どもは最低限の教育を受けることもままならないのが、フィリピンの教育事情です。
 
裕福層は収入だけではなく蓄えもありますので、教育費が収入の2割3割を占めても、痛くもありませんが、貯蓄のない貧困層は、高額な教育費の支払をすることはできません。
 
よって、子どもの教育費を極力、抑えようとします。
だから、貧困層の子どもの学力は向上せず、貧困から抜け出すこともできません。
 
 
グローリアセブでは、スラム街の貧困層の子どもたちへの奨学金の給付や、無料で参加できるフリースクールを通して、貧富に関係なく誰もが勉強できる環境づくりをすすめています。
 
貧困の子どもたちへの教育に興味のある方は、僕たちが行っている教育ボランティアに、ぜひ参加してください。
 
貧富によって格差が生じているフィリピンの教育事情が、よく理解できると思います。
 
 

 
 

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