来実 立命館アジア太平洋大学4年
セブのボランティアに参加して、多くの衝撃を受け様々なことを考えさせられる経験を積むことができたと感じる。
まず、私は今回参加する以前にスラムに訪れた人々が子供たちと笑顔で写っている写真を見て、本当にこんなに仲良くなれるのかと疑っていた。
なぜなら、他の報道されているスラムに住む子供たちの写真は辛そうにしている写真や睨んでいるような写真が多かったからだ。
そして、なにより人見知りもあるだろうから出会って数時間程で一緒に笑顔で写真をとることは難しいのではないかと考えていた。
しかし、そのような気持ちは最初に訪れた墓地スラムで車から降りる時にはなくなっていた。
なぜなら、この経験は私にとって初めに感じた大きな衝撃であり、それまで張り詰めていた緊張が安心に変わった瞬間でもあった。
その後、ダンスや折り紙などのアクティビティを行ったが、皆が折り方を聞いてくれたり、名前を呼んだりとそのように頼ってくれることが私の存在を受け入れてくれているように感じて嬉しくもあり楽しく感動した瞬間であった。
その後、お昼ご飯に向かう道中に制服を着た子供達が通う小学校を目にした。
ついさっきまで一緒に遊んでいた子供たちと同じ歳くらいの子供達が送り迎えをしてもらいながら学校に通っている姿が不思議に思え、スラムに住む子供達もあんなに元気で優しい子供達なのに、生まれてくる環境が違うことでこんなにも過ごし方に違いが出るということをすごく考えさせられた瞬間だった。
次に訪れた山間部のスラムではアクティビティを行ったあとにフリータイムで子供達と鬼ごっこや大縄をした。
鬼ごっこでは多くの子供達が私を揶揄ったりして追いかけてくるよう催促してきたため、最初は子供達を追いかけることができていたが、途中から体力がなくなり追いかけることができず端の方で止まってしまった。
そんな私を見て再度子供達は催促してきたが付いていくことはできず、子供達の体力と元気さに心からすごさを感じ反対に自分のことは情けなく思った。
2日目は家庭訪問と教会のアクティビティを行った。
家庭訪問へ向かう道中でフィリピン政府がスラムを無くすことを目標に住居の建設を行なっているが政府もお金がないため途中で止まって5年ほど工事段階の状態であることを斉藤さんから伺って、政府にもお金がなく雇用機会も少ないこの状況をどうすれば抜け出すができるのかますます難しく感じた。
その後の家庭訪問でも将来の目標や今抱えている問題、日常の過ごし方を知ることができ貴重な話を聞くことができた。
また、教会のアクティビティでは子供達が全力で楽しそうに歌ったり踊ったりしている姿を目にして、話すことや歌うこと、踊ることを幸せに感じていることが強く伝わってきてとても感動した。
その後の家庭訪問では家族を亡くしてしまったり、家出をしてしまったりと子供達にとってすごく辛く大変な経験をしているにもかかわらずお母さんに何か買ってあげたいという思いやりの気持ちを忘れず笑顔で夢に向かって頑張っている姿を見て心から尊敬し、自分も見習い過ごしていきたいと強く感じた。
3日目の子供達とも沢山遊び楽しい思い出があるが、1番印象に残っているのはゴミ山で育った子供達は同じスカベンジャーになっていくというお話を聞いて、こんなにも元気で優しく思いやりがある子供達がゴミを拾うことしかできなくなることはとても勿体なく残念で悲しいことであると感じた。
なぜなら、私が出会った子供達はゴミを拾う以外に出来ることが多くある子供達だからだ。
その子達が自身の能力、力を発揮できる場所が必要であると考えた。
今回のセブ島ボランティアを通して、多くの人と交流し、暮らしを見たことで様々な経験を積み、たくさんの事柄を思考する機会を得ることができた。
私が最も問題に感じた点は働く場所がないことである。
いくら働く意思があって元気な体があっても働く場所がなければ貧困の問題は解決しないと感じた。
その中でグローリアセブのインターン生から伺った、日本語を教え、日本での雇用機会を増やすというお話は納得し感銘を受けた。
私も雇用機会の創出がどうすればできるのかについて、このボランティアをきっかけに真剣に向き合い考えていきたい。
2023年3月