のどか 大阪公立大学 2年

私がセブ島で過ごしたこの1週間は、間違いなく私の人生で最も刺激的で沢山のことを与えられた1週間でした。

今回グローリアセブのボランティアに参加した理由は、もともと海外ボランティアに興味があったことに加え、海外の価値観に触れて自分を見つめ直したいと考えたからです。

このボランティアに参加するにあたり、自分がなにを知りたいのか考えてみた時、思い浮かんだのは「どんなことに幸せを感じますか?」という問いでした。

暗いイメージのスラムやゴミ山で暮らす人々は、どんなことを楽しみに、どんなことを幸せとして生きているのか知りたかったからです。

実際に現地にいってまず驚いたのは、地面に散らばるゴミの量と異臭、墓地の上に無理やりつくられた家、沢山の野良猫・野良犬、ゴミのポイ捨ての習慣、ボロボロのサンダルで危険な地面を歩く子供たち、不潔な手で食べ物を食べようとする子供たちの姿があったことです。

私が普段日本で過ごしている生活とは全く異なったものでした。

でも一番驚いたのは、スラムには私が想像していた暗いイメージとは全く違う、キラキラした瞳と笑顔に溢れたスラムの子供たちの姿があったことです。

たくさんの明るくて元気で思いやりのあるスラムの子供たちと出会い、ボランティアとして参加したはずの私はいつのまにか子供たちの無邪気さと明るさに元気をもらっていました。

ボランティアが終わって部屋に帰ると、スラムの子供たちが恋しくなり、今日も本当に楽しかったなと感じる日々でした。

子供たちとの交流の中で、子供たちに幸せを感じる瞬間を聞いてみると、家族との絆を感じた時、友達と話している時、食べている時、ダンスを踊ってる時が幸せだと教えてくれました。

このような些細なことに幸せを見つけ、本当に幸せだと心の底から感じることのできる日本人は少ないように思います。

実際に見たのは、私たちが想像を絶するような暮らしでしたが、そのような暮らしの中でも彼らは日常に幸せを見つけ、家族と友達と明るく幸せに暮らしていました。

 

また、交流を通して、彼らの愛情深さを身に染みて感じました。

食事配給の際、3歳の女の子が、自分のご飯を犬に与えたりお母さんの分を手袋に取り分けているのを見て、スラムの子供たちは本当に家族愛に溢れていると感じました。

ゴミ山で暮らす15歳の女の子は学校を出て家族を支えたい、将来は軍隊になって大好きな母国フィリピンを守りたい、と教えてくれました。

彼女の両親はスカベンジャーです。

彼女は毎日5時に家を出て、1時間半かけて山道を歩き学校に通っているそうで、英語のスピーチで表彰されたときのメダルを嬉しそうにみせてくれました。

どんなに貧困であっても、自国を愛し、愛情をこめて育ててくれる家族のことを想い、将来に向かって懸命に頑張る姿はとても刺激的でした。

スラムの子供たちの中には先生、看護師、技術師などといった夢をもってる子がいて、みんな前を向いて将来のことを考えていました。

刺激を受けたと同時に、現実的に金銭面のことを考えた時、どうしても夢を諦めないといけないときがくるかもしれないと思うと、本当に悲しいし、悔しいと思いました。

日本では当たり前に自分のしたいことができ、将来の夢を叶えられる環境にあることがほとんどです。

また、日本は目に見えて格差を感じることはとても少ないですが、フィリピンの街は少し移動しただけで街並みの雰囲気はガラッと変わり、そこに住む人々の生活も全く異なったものとなっていました。

たった1週間、セブ島で過ごしただけでその格差を痛感しました。

物売りでは、周りに観光客がいて、自分たちが貧困層であることは、彼らが1番強く感じていると思います。

外の世界を知らない、貧困から抜け出すことのできない子供たちは、スカベンジャーや物売りなど親の仕事を教わり、その仕事を生涯かけて受け継ぐしか生きる道はありません。

しかし、その中でも、グローリアセブから奨学金支援であるスカラーシップ制度を受け、高校を卒業した少女は、今のスラムの生活を抜け出して、起業したいと考えていました。

教育を受けて様々なことを学ぶ中で、周りの人達から刺激を受け、自分のしたいことを見つけることができたからだと思います。

そう考えると、本人が自分の意思で、今の生活を変えたい、抜け出したいと行動を起こすきっかけとなるのは教育しかないのかもしれないと思いました。

今の私のできることは、より多くの子供たちがスカラーシップの制度を受けることができるように、スラムの現状をできるだけ多くの人に伝えることです。

沢山の気づきを与えてくれたスラムの子供たちの未来を明るいものにしたいと強く思いました。  

このボランティアを通して、スラムの人々は、些細なことでも日常の中に幸せを見つけ、家族と共に愛に溢れた生活を送っていることを知りました。

どんなに貧困な運命にあっても、愛情深く懸命に生きるスラムの人々の姿は本当に心打たれるもので、沢山の元気と刺激を与えてもらいました。

現地のフィリピン人の温かさに触れ、お金では買えない家族・友達と過ごす日常に幸せを感じる意味、貧困の連鎖を打ち切る教育の意義を学ぶことができた本当に有意義な1週間でした。

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