極貧困層が暮らすフィリピン セブのスラム街
スラム街または貧困街と言われる場所。
意外にも人の行き交う都市部や商業施設の近くにあります。
電気も水道もない荒廃した場所に簡素な住まいをつくり、失業者やアルコール依存症の人々が家族と共に無許可で暮らしています。
合法地域ではないため警察の取り締まりも行き届かず、スラムでは麻薬や拳銃の売買、ギャンブルなどの違法行為も日常的に。
東南アジアで最も貧困が多いフィリピンには街中にスラム街があり、それは首都マニラだけでなくセブにも広がっています。
セブのスラムは水辺の近く
フィリピン第二の都市セブ島には海沿い、川沿い、墓地、そして街中にスラムが。
なぜ水辺にスラムができるのか。
それは飲用水以外の水を得て生活用水を垂れ流せるから。
途上国では水は貴重品。
飲み水はろ過されたミネラルを購入するか、または煮沸した水を使いますが、スラムでは体や食器を洗ったり排泄物を流す水は海水、川の水、雨水を貯めて使います。
自然の水は無料。
貧困層が水辺にスラムをつくる理由のひとつです。
墓地もスラム化します。
セブ市内の公共墓地に住みつく貧困層、実は墓の所有者から許可を得て墓地に暮らしています。
フィリピンの一般的なコンクリートでつくられた埋葬は下駄箱のような場所に棺桶を保管するスタイルですが、裕福層は3m四方のスペースに墓石を建て周りをコンクリで覆う墓をつくります。
墓の所有者はすでにフィリピンに住んでいないか埋葬して数十年がたち墓を訪れない人が多く、その場所を無料で貧困層に貸すんです。
墓地には貧困層の人たちと所有者を結びつける仲介人が存在し、貧困家族が住みやすいよう>墓石の周りに壁や屋根を付け貧困層に提供します。
見た目はきれいですが墓地ですので電気も水道も通っていません。
セブ市内には十か所程度の墓地が存在します。
セブのゴミ山に暮らす貧困層の現実
セブには数か所のゴミ集積所、ゴミ山が存在しますが公共のゴミ集積所と民間の集積所ではスラム化した過程が異なります。
公共のゴミ集積場は役所によってある程度管理され、立ち入りや居住が禁止されている場所もありますが、民間のゴミ集積場は営利目的のため地主がゴミ集積業者に貸し出した場所ですので住むのも自由。
正確に説明すると元々住民が住んでいた場所に、ある日突然ゴミが運ばれて来るようになり、そこに住んでいた住民は他に行く場所もなく、ゴミ拾いで生計を立てる生活を始めるようになった。
日本人の目から見たら劣悪な環境でゴミ拾いで生計を立てているゴミ山はセブで最も過酷なスラムに映ります。
しかし、水辺や墓地に暮らす人と異なり、自らの意思とは関係なく住まいの周辺がスラム化してしまい、生きていく手段としてゴミ拾いを始めた人たちも多いのです。
将来の夢は持てないスラムの住人
ひとつの事例をご紹介します。
ロレガと言うセブの墓地跡に住んでいる貧困層の現状です。
ロレガはセブ市内の中心部に位置しながらフィリピン人が最も近づきたくないスラムと言われてました。
2014年の大火事で一面焼け野原。
ロレガの住民は他に行くところもなく、火災が落ち着いたところでまたロレガに戻ってきました。
人口2万人程が暮らすロレガは麻雀やトランプ、チキンファイトといったギャンブル、銃やドラッグを扱うギャング集団の溜まり場として今も有名なセブのスラムのひとつ。
ロレガの住民に「あなた達の夢はなんですか?」と質問すると、お腹をすかせていたり、喉が渇いていたりする子どもでも、先生、医者、看護師、エンジニア”等、各々が夢を答えていました。
しかし母親達に同じ質問を投げかけると多くの母親達は答えられない。
毎日を生きることに精一杯の彼女達は、自身の夢がないことに泣き出してしまいました。
「子どもや家族の夢はなんですか?」
母親達にこう質問したところ母親達はさらに泣いた。
スラムの貧困層は将来の希望や夢を持つことが出来ません。
日本人の先入観の大きな間違え
スラムは暗いイメージで貧困の人々は苦しい生活を強いられている。
貧困層は日本人から見たら過酷な生活を強いられているのは事実ですが決して暗くはない。
スラムにも笑い声が響き、子どもたちは走り回っています。
スラムにも住民同士のコミュニティがあり、住民は助け合いながら毎日を暮らしています。
人との関係が箕臼になった日本の町内会よりよっぽど住民同士の関係を大切にしているでしょう。
隣の子どもの面倒を見たり、食べ物を分かち合いながら貧しくても楽しく暮らしています。
ひとつ日本と違うのは、明日の夢は見れないこと。
今の幸せを実感できない日本人が、途上国のスラムの人たちの生活や考え方に触れたら、自分の価値観や先入観は大きく覆るでしょう。
途上国の現実は、その国に行ってはじめて真実がわかります。
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