グローリアセブ インターンスタッフ体験
華 創価大学
8月15日から約一か月間、グローリアセブのインターンに参加し、様々な体験をさせていただきました。
その中で自身が学んだこと、感じたことを5つの項目に分けてレポートさせていただきます。
インターンで楽しかったこと、大変だったこと
約一か月のインターンで私が特に力を入れて考えたのは、アクティビティの時間をどのように過ごすのかという点でした。
特にアクティビティをする際、子供たちが楽しくボランティアメンバーと関わることができるかを意識しました。
一週間という短い時間でボランティアメンバーに来てよかった、参加して楽しかったと思ってもらいたい、また、せっかく時間をとって関わってくれる子供たちにも有意義な時間を過ごしてもらいたいとの思いでアクティビティを考えました。
二週目に行ったアクティビティでは、日本の子供たちが遊んでいるじゃんけん列車やあやとりを通してボランティアメンバーと関わりながら、楽しい思い出を作ってほしいと思いました。
実際に行ってみて、特にルールや作ってほしいものを説明することが難しく、逆に子供たちから新しいものを教えてもらうなど、少し準備不足な点が目立ってしまったなと感じました。
しかし、新しいゲームの中で思いっきり楽しんでくれる子供たちの姿に、新しいことに挑戦をしてよかったなと思いました。
また、青空教室ではよりお互いの関わりを増やしたいと思い、お互いの言語を教えあいながら自身の好きなものや将来の夢を共有してもらいました。
積極的にコミュニケーションをお互いにとってくれ、距離を縮めてくれとて嬉しかったです。
四週目には二週目の反省を生かしながら、よりパワーアップできるように同じインターンメンバーと話し合い、アクティビティを行いました。
特に新しいダンスや手遊びは、終わった後も子供たちが歌って踊ってくれたり声をかけてくれたりし、言語が通じなくても笑顔で楽しく行うことで子供たちは何かを感じ取ってくれるのだと感動しました。
最後の週では、特に自身も思いっきり楽しみ、思い出を作りながらみんなにも楽しんでもらいたいとの思いで参加しました。
そのように考えたきっかけは、斉藤さんとインターンメンバーとの食事会で、斉藤さんから「自身が楽しむことでまわりもついてきてくれる」との言葉があったからです。
実際にそのように参加してみて、私が笑顔でいることで周りも自然に思いっきり笑ってくれ、今までで一番楽しく子供たちと関わることができたと感じます。
アクティビティでは子供たちと一緒にゲームをしたり、英語の学習をかねたものを行ったりして、自然とボランティアメンバーと子供たちがかかわることのできるものを行いました。
今までは緊張してしまい、なかなか思いっきり楽しめないこともありましたが、今回は自分から積極的にかかわりに行くことでよりみんなと一緒に楽しめたのではないかと思います。
この一か月参加して、言語の壁に何度かぶつかることがありました。
家庭訪問時に質問する際、回答をうまく伝えることができず助けてもらったり、グローリアセブのスタッフ、子供たちと話すとき、自分の思いをうまく伝えることができなかったこともあったりしました。
しかし、それ以上に言語だけではない人とのつながりを感じました。
オリエンテーションの時に斉藤さんがおっしゃった、笑顔や雰囲気で伝わるものがあるということを身をもって感じ、どれだけ自分が相手と関わりたいとの思いを強く持ち、積極的に行動するかが大切であると感じます。
実際にいつも笑顔でいると周りの子供たちも笑顔で話しかけてくれ、楽しんでくれ、よりやりがいを感じ、私自身もっと楽しくあっという間の時間を過ごすことができました。
フィリピンの貧困層の生活環境
楽しく明るい子供たちの姿とはうって変わって、訪問させていただいた各場所では多くの貧困の現状が広がっていました。
一日の稼ぎでは食費を払うことで精いっぱいの家族、屋根や壁はあるものの周りからは丸見えで、雨が降れば影響をもろに受けてしまう家、足場が悪く、竹や木をつなぎ作っている足場、ごみが広がり衛生的にも悪い環境で当たり前のように過ごす家族。
言い出したらきりがないほど、日本に住んでいた時には考えられない環境ばかりでした。
また、仕事といっても洗濯や物売り、廃品回収など多くのお金にはならないものばかりで、生まれた環境が違うだけで仕事の幅が狭まってしまうことに何度もやるせない気持ちになりました。
家庭訪問の際何度か質問の中で、悩みや生活をどのように改善したいかを聞く機会がありました。
その中で一番多かった悩みは、食事や家の環境などお金に関するものばかりでした。
それらの悩みは決して高望みしているものではなく、必要最低限の生活を営むために必要なことで、それすらも厳しい環境であることに心が痛みました。
また、多くの家庭が夢や望として、子供たちがきちんと学校を卒業することと述べているところも印象的でした。
日本にいたころの私の感覚では、学校を卒業した後のことを夢や望みにすることが当たり前でした。
しかし、その当たり前のように感じていたことすらも実は当たり前じゃなく、かなわない人もいることに驚くとともに、大変な環境の中で必死に勉強に励む子供たちの力になりたいと強く感じました。
そのような貧困環境の中でも、子供たちはいつも笑顔で明るいことが印象的でした。
子供たちのことを見ていると、歌って踊ったり、みんなと話したり、決してたくさんのお金をかけるものではないけれど、身の回りにあるものや自分の中から楽しみを見出していることが分かりました。
また、家庭訪問の時に彼らにとっての幸せを聞いた時は、家族と一緒にいられることが幸せと答えている人が多く、当たり前に感じてしまうことに幸せを感じることのできる心のきれいさを感じました。
なぜフィリピンは貧困社会なのか
フィリピンは国民の22%が貧困層で、東南アジアの中で高い割合であることをオリエンテーションの時に知りました。
私がマニラに住んでいた時、少し都会をはずれるとホームレスの方が道端で多く寝ていたり、物乞いをしたりする人が多く衝撃を受けました。
実際に赤ちゃんを抱えていたり、障害があったりする人のほうがお金をもらいやすいのか、そのような人たちと一緒に物乞いをする人も多かったです。
他にも、ジプニーに急に乗ってきて演奏をしチップを回収する人もいました。
セブに来た時もやはり物乞いにあったり、道路で寝ている人たちが多くいたりしました。
また家を持つことができたとしても、雨風を完全にしのぐことができずいつ壊れるかもわからない状態も多くあります。
貧困であるがゆえに義務教育であるにもかかわらず、学校を途中退学してしまう子供や、家族のために働いている子供も多くいます。
他にも、環境が悪い中で生活したり、衛生面について考えたりしないため、食あたりなど日本では死ぬほどの問題ではないものが原因で死んでしまう子供たちもいます。
フィリピンの貧困の原因や貧困から抜け出せない原因は様々ありますが、私は特に二つのことが原因であると思います。
一つ目は教育を受けることができない、教育の大切さをわかっていない人が多いということです。
授業料は無料でも、その他の様々な学校費が必要で、それを払うことができずに最後まで学校を卒業することができない。
大学を卒業してもファストフード店の店員になることがやっとのなかで、学校を卒業すらできていない子供たちは十分な職に就くことができません。
また、知識がないことで十分な支援を得ることができなかったり、生活環境をかえるための手段が思いつかなかったりします。
教育を受けていない親の中には今高いお金を払って学校に行かせなくても、自分は生活できているのだから必要ないと考えている人もおり、子供を退学させ働かせている人もいます。
このように、教育の欠如による貧困の悪循環に陥っている家庭は多くいます。
二つ目は、現状の生活で満足してしまっている人が多いということです。
家庭訪問に行った際も、母親は現状を少しでも良くしたいと考えていたり、朝から晩まで必死に働いていたりしますが、父親のほうはいつも外でお酒を飲んでいたり、寝ていたりギャンブルなどをしていたりしていました。
実際にフィリピンは女性社会で、医者や教師、管理職などに女性が多いですが、それは女性のほうが向上心があることも原因であると思います。
貧困なのだからお互いに働いて、少しでも多くの収入を得ようという考えの父親は少ないように感じました。
親切心があり支えあうフィリピン人の多くは、そのような人に対しても家族や親せきが手助けをします。
生活は苦しいけど、それでも三食食べることはできるし、今が楽しければいいというように周りに頼ってばかりの大人が多いことも貧困から抜けだせない原因であると思います。
フィリピンは貧困層と富裕層の格差が大きいです。
実際に授業で国民の総資産のほとんどを富裕層が所有していると学びました。
マニラのなかにある富裕層が多く住む地域に行くと、高いビルや高級車、ホテルのようなマンションが多く、日本人の感覚でも高いと感じるような家で生活しているフィリピン人も多くいます。
街行く人はみなおしゃれをし、高いレストランに入っていく人も多く見かけました。
しかし、そこからわずか移動するだけでも目の前にはスラムが広がり、食その日のべ物を確保することがやっとの人たちが多くいます。
実際にフィリピンは経済成長が進み、発展してきていますが、その恩恵を受けているのは中間層や富裕層の人たちで、貧困層にはなにも影響を与えていません。
むしろ、インフレによる物価の高騰で生活がますます苦しくなっている現状です。
フィリピンの貧困状態はとても深刻であり、根が深いです。
大学生や社会人が日本でもできる支援活動
大学生や社会人が日本からできる支援には限りはありますが、可能性は大きいとも感じます。
まず一つ目として考えられる支援は、実際にNGOなどの団体に寄付をしたり、物資の提供をしたりすることです。
これらは、直接的な支援になるものの、個人では特に大学生などは少しの寄付で限界があると感じます。
しかし可能性があると感じるのは、このような貧困層の現実を知らない多くの人に伝える活動ができるという点です。
実際に私は部活動の一環で大学祭で貧困層の子供たちをテーマにした展示を行いました。
その中で貧困層の現実を知ってもらうと同時に、世界で行われているアクションや支援などを紹介し、実際にその場で何千人の人に参加してもらうことができました。
アンケートの中には、今まで貧困層の人たちの現状を知ってはいたものの、詳しくはなくとても勉強になったとの声や、自分もなにか支援できることはないか、もっと調べたいなどの声が多く挙げられていました。
特に大学生などは一人でできる活動に限りがありますが、誰かにその現状を伝えること、広めていくことを通して多くの仲間を作り、支援の輪をひろげていくことができます。
その結果、一人では微量の支援だったものが、より大きなものとなり、貧困層の人々への大きな支援につながると感じます。
今はSNSなどを通して多くの人とつながることができたり、情報を発信することができたりします。
なので、それらを存分に活用していきたいと感じます。
他にも支援として考えられるのは、フェアトレード商品や、商品を買うことでその作った人やその子供たちの支援になるという商品を買うこともあります。
実際にフィリピンだけではありませんが、貧困層の多くでは先進国からの搾取にあっている人も多くいます。
そのような中で少しは高くなりますが、フェアトレード商品を意識的に買うことで、搾取されている人たちを減らし、結果、収入を増やすことができます。
他にも商品を買うことで支援をすることもできます。
実際に私の通っている大学の大学祭の中で、商品を買うことでその製作者や貧困層の子供たちの支援につながるという商品が売られていました。
私も含め、そのような活動があることを知らない人も多く、実際に手に取って買っていく方もたくさんいました。
このような日本にいながら彼らの作った商品を買うことで彼らの支援をすることができます。
これらの商品は寄付や支援をしたいけどどのようにしたらいいかわからないという人たちでも簡単にできる支援の一つでもあり、社会人や大学生が簡単に日本からできる支援であると思います。
自身の変化と将来の希望
私がこのグローリアセブのインターンに参加した理由は、自身の視野を広げたかったからです。
私はもともと発展途上国の問題や子供たちをとりまく問題に興味があり、NGOに興味を持っていました。
その中でインターンを通して自分が今後どのように子供たちと関わっていきたいのか、どのような仕事を通して子供たちの支援をしたいかを知りたいと感じていました。
実際にインターンに参加してみて、やはり自分は子供たちの問題の解決に携わる仕事がしたいこと、子供たちと直接かかわっていきたいことを再認識しました。
また、それ以上に今回参加して自分の中で考えが固まったことは教育の大切さでした。
私は国際問題を授業や部活で調べることが多く、その中で何度も教育が大切だということを確認してきましたが、実際にグローリアセブのインターンに参加して、その重要さをひしひしと感じました。
教育は学校教育だけでなく衛生面、例えば手洗いうがいや栄養の取り方、知識を与えることなど幅広いことが重要だと感じました。
親に教育の大切さを伝えること、学校教育も含めその他さまざまな教育を伝えることが、貧困から脱却するためにとても必要なことであるとの認識に変わりました。
その結果、きちんと収入を得ることのできる仕事に就くことができたり、必要以上に病気になることがなくなったり、貧困の悪循環から抜け出せたりします。
なので私はより教育にかかわる仕事をしたいなとこのインターンを通して考えることができました。
今は日本で就職することを考えていますが、何かしらの形で貧困層の子供たちへの支援もしていきます。
グローリアセブのインターンに参加してみて途上国の印象、子供たちの印象が大きく変わりました。
多くのボランティアメンバーも述べていましたが、やはり今までは貧困層の生活は苦しく、楽しみも少ないといった印象でした。
しかし、実際に行ってみるとどこかでは歌が聞こえ、子供たちの遊ぶ声も聞こえにぎやかで楽しい雰囲気でした。
私はどこかで途上国の方の生活を下に見てしまっていたのだと反省するとともに、フィリピン人の底からでるパワーを感じました。
フィリピン人の方は、自分の中から幸せを見出しているところに一番感動し、尊敬しました。
今までの私は自分に自信がなかったり、自分の幸せの基準を他人からの評価などで決めていました。
しかしフィリピン人の方は、家族といられることなど自分の中の幸せの基準がきちんとあり、みんな自分に自信をもって堂々としていました。
そのことに気づくとともに、実際にこのインターンを通してフィリピン人の方から多くのことを直庭させてもらいました。
そして私も、みんなのように自分の幸せを自分の価値基準で判断し、自信をもって生きていきたいと感じました。
今回のインターンでは、むしろ与えてもらってばかりの一か月でした。
毎週子供たちに会えるのが楽しみで、自分は子供が好きなんだと感じ、もっとこのような子たちのためにできることをしたいと考えるようになりました。
将来、どのような道に進んでも、今回の経験を糧に、子供たちや力強いフィリピンの方々のことを思い浮かべながら生活していきます。
そして、どのような形になっても子供と教育の分野で貢献していける人になっていきます。
最高の経験をさせていただきました。
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