貧困層が身を寄せ合いながら暮らしているスラム街。
スラムは世界各国に点在していますが、日本にはほとんどありませんので、実際にスラム街を見たことのある日本人は数少ないと思います。

この記事では、スラム街の定義とフィリピンにおけるスラムの状況、そして国際協力団体グローリアセブが行っている、セブのスラムでの炊き出しボランティアについて説明します。

目次
1.スラム街とは
2.フィリピンのスラム街
3.スラム街の生活
4.スラム街での炊き出しボランティア
5.スラムの子どもを支援するボランティア

1.スラム街とは

スラム街とは、生活に困窮している貧困層が密集して暮らしている場所のことです。
特徴的なのは、スラムは都市部や繁華街のちかくにでき、田舎や山間部にはスラム街はありません。

スラムの住人の多くは、仕事を求めて地方から都市に出てきた、スコッターと呼ばれる移住者です。
住む家も、収入の当てもなく、都市にやってきたスコッターは、空き地や、人が住まないような劣悪な環境の場所を不法に占拠し、スラム街を形成していきます。

スラム街は世界中に存在しますが、南米やアジア、そしてサハラ以南のアフリカ各国に特に多く、「国連人間居住計画(国連ハビタット)」の統計によると、2050年までに世界のスラム街の住人は30億人にまで膨れ上がると推定されています。

2.フィリピンのスラム街

国民の2割が絶対的貧困層といわれるフィリピンでは、首都のマニラやセブにスラム街が形成されています。

スラムができる場所は、川沿いや海沿いの未開拓地、ビルの建設予定地、ゴミ集積所、そしてお墓など。
彼らは、フィリピンの離島や田舎町から、仕事を求めて都市にやってきた人たちです。

たとえば、セブ州(セブ島とその近隣にある離島)の人たちは、まずメトロセブ(セブ市、マンダウエ市、ラプラプ市など)を目指します。

セブで上手くいかなかった人たちが、次に目指すのはマニラ首都圏。
でも、マニラやセブに来たからと言って、すぐに定職が見つかるわけもなく、男性は肉体労働、女性は物売りや内職で、僅かながらの日銭を稼いで暮らしています。

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3.スラム街の生活

スラム街は治安が悪く、麻薬や拳銃の密売などの犯罪が日常茶飯事に行われているといわれます。
たしかに、フィリピンのスラム街は安全な場所ではありませんが、社会から見放されているわけではありません。

住民同士でコミュニティをつくり、助け合いながら生活しています。
スラム地区を管轄している役場では、スラムの住人が暮らしていけるよう、環境の整備や生活支援も行っているんです。

具体的には、インフラの整備や、貧困家庭への補助金や食糧の支給など。
例を挙げると、僕たちが支援している海沿いのスラムは地盤が緩く、道はいつもぬかるみ、歩くのも困難でした。
行政はその道を舗装して、住民の生活を改善しました。

また、事情により、みなしごになってしまった子どもへは、毎月一定額の生活費を支給しています。

ネットでは、スラム街は社会から見放され、電気も水道もなく、ゴミの回収車もこないと書かれている記事を見かけます。
たしかに、電力会社と契約していない家庭には電気は通っていませんし、水道やトイレは共用でつかっていたりと、不便なことはありますが、スラム街は社会から完全に見放された暗黒街ではありません。

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4.スラム街での炊き出しボランティア

グローリアセブでは、セブのスラム街で、毎週、炊き出しのボランティア活動を行っています。

炊き出しとは、貧困や災害などによって困窮している人たちへ、無償で食事を提供する行為。
海外では炊き出しのことをフィーディング(feeding)、またはスープキッチン(soup kitchen)と呼ばれています。

日本でも、おおきな震災や災害が発生した時に、屋外にテントを設置して、被災者に食事を振る舞う炊き出しの活動が行われます。

炊き出しの献立は、ルガウ(Lugaw)というフィリピン料理。
大鍋にもち米と鶏肉、野菜などを入れて1時間ほど煮込んでつくる、うす塩味の中華風お粥です。

一回の炊き出しで200人分のルガウをつくり、スラム街の子どもたちに配給しています。

つくるポイントは、野菜嫌いな子が多いフィリピンの子どもたちに、野菜を食べてもらうため、人参やネギなとを、見た目ではわからないくらい細かくきざんで入れること。

ときには、お粥にチョコレートを入れて煮込むチャンプラド(Champurrado)というメニューを提供することもあります。
ルガウもチャンプラドも、フィリピンでは朝食や間食のときに食べられている料理で、腹もちも良いため喜ばれています。

調理はスラム街を管轄している役場のスタッフにお願いし、グローリアセブでは、お米や野菜などの食材の購入、および配給活動を担っています。

5.スラムの子どもを支援するボランティア

スラム街の人たちが望んでいることは、安心して住める家と、定期的な収入が見込める職を得ることです。

火災や水害が多いスラムでは、家を失ってしまうリスクが付きまとっています。
ビルなどの建設が決まれば、行政から強制移住命令が発せられ、立ち退きを余儀なくされます。

でも、スラムの人たちは不法に住んでいるため、何が起きても文句を言える立場ではありません。

また、生活をしていくためには安定した収入が必要ですが、特別な技術や能力をもっていないスラムの人たちができる仕事は限られます。
収入がある日で500円~1,000円ほど。
仕事がなければ無収入となり、食事を摂ることも困難になります。

これらの問題は、一長一短では解決しません。
国や地方自治体、そしてNGOや教会などが、地道にサポートを行っていくことが必要です。

グローリアセブでは、スラムの子どもたちの食育と教育支援にスポットを当て、役場と連携しながらボランティア活動を行っています。

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